第7話『ナタルとトゥーラとキーツ』
珍しい面子が揃っていた。
日曜日の午後、ナタルが生産修法で作った野菜をしまいに来た。
そこに伝票整理をしていたトゥーラがいて、後から暇を持て余したキーツが顔を出したのだった。
「トゥーラがいてくれて助かったよ。自分で伝票切ったら、後で怒られそうだからね」
ナタルが頭を掻いて言うと、トゥーラは静かに笑った。
「一言、声をかけてくれたらいいのよ? そんな煩雑な作業じゃないんだから」
「休みの日までワーカホリックなんじゃないの?」
キーツがからかうと、ナタルはいやいや、と手を横に動かした。
「それがさ、この仕事が始まってから、やたら調子がいいんだよね。次々と作りたい作物が浮かんできてさ。出来もいいんだ、これが」
「へぇ」
「生産修法の仕事が合ってるんじゃないかしら。しかもストレスフリーだし」
トゥーラが言うと、キーツが笑った。
「じゃあナタルの本領発揮だ。よかったじゃん」
「まぁね、我ながら単純だと思うけど」
「二人とも、お茶はいかが? いい緑茶が入ったの」
「いいの? じゃあゴチになろうかな」
「俺もお呼ばれしようっと」
というわけで、三人仲良く並んで座り、トゥーラが淹れたお茶をいただく。
「あー、この苦み。癒されるわぁ」
「うん、スッキリしてて後味いいね、このお茶」
「そうでしょ? パラティヌスのクレロ区の新茶なの」
「クレロ区って山岳地帯じゃん。えっ、お茶も作ってるんだ」
キーツが聞くと、トゥーラが丁寧に答える。
「そう。水はけのいい、日当たり良好で寒暖差のある気候を利用して作るの。量産はしてなくて、市場には出回らないから、今朝、買い付けに行ってきちゃったの」
「トゥーラは結構、なんにでも凝るんだね」
「健康オタクなの」
「ははは、そりゃいいや。健康オタクね」
「わかるなぁ。お茶に限らず、どんな食べ物でも自分に合う合わないってあるから。食べると身体が、というか細胞が喜ぶってあるでしょ」
「そうなのよね。食べ物を追求できるのは、パラティヌスに住んでいるからこそで、他の――カピトリヌスの人たちからしたら、なんて贅沢なんだって怒られるわね」
ナタルの言葉を受けて、トゥーラが自分の贅沢に肩を竦めた。
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