第7話『妖精と一緒に』
「えっ、俺がレタスを?」
ルイスは初め躊躇した。得意な生産修法は穀物だったから。
「あなたの生産修法は妖精界でも評判なんだそうですよ。上手だね、って彼らが話しているのを、私は何度も聞きましたから。そろそろ次の段階に入ってもいいんじゃないかしら、というお達しです。挑戦してみませんか?」
「は、はぁ、でも俺、レタスの生長過程って映像で見たことなくて……」
「妖精がいますよ。横で一緒にレタスを作ってくれるそうです。できたら交換しましょうと云ってます。私は大丈夫だと思いますよ。ルイスさんの仕事は丁寧で漏れるということがない。手間をかけるのと同じくらい大事な、自然界の働きに近い。いつも通りに何よりのお手本を見ながら、まずはやってみましょう」
「はい」
レタスの妖精がレタスの種をくれた。おずおずと受け取ったルイスは、種を生産修法の球で包んだ。隣では妖精が同じく球に包まれている。
繰り返される昼と夜。柔らかな雨。晴れ渡った空。初夏の日差し。土や風の匂いがした。
精霊界からの贈り物だった。
妖精の種が発芽した。遅れること数秒で、ルイスの種も発芽した。
感動する暇もなく、淡緑色の本葉が増えていき、やがて結球していった。
いつもの倍、時間がかかっているはずなのに、疲労感がない。
妖精は包み隠さずレタスを作る過程を見せてくれた。
生命が花咲くような、そんなお手本だった。
出来上がったレタスは感動が目一杯詰まっていた。
「……」
言葉もなくレタスを手に持って見つめていたルイスだったが、中からレタスの妖精が出てきたのに仰天してしまった。
ポンという感じで出てきて、先の妖精とダンスを始めた。
「え――っと……」
どういうことなのかわからず、困惑するルイスに、ランスが助け船を出す。
「生命の樹の純エネルギーと精霊界の命を育むエネルギーの相互作用で、新しいレタスの妖精が生まれたようですね」
「そんなことがあるんですか⁈」
「自然界ではままあることです」
「はぁ……」
妖精が作ったレタスはルイスに手渡された。ルイスが作ったレタスは妖精に。
笑いながら妖精は立ち去っていった。
レタスを手に持ちながら、ルイスは呟いた。
「どうしよう、これ」
もらったのはいいが、一人暮らしでこんなに食べきれない。
「顛末をお話しして、ポールさんに腕を奮ってもらうのはいかがですか? 時間が空いている方も集めたらどうでしょう」
ランスの案は採用されて、みんなでレタスパーティーを開いたのだった。
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