2022.10.3(mon)穴場の席



そういえば席替えをしたのだ。菜都奈は黒板前の席に座り、慣れない教卓との距離に辟易とする。近すぎる。

一限は数A、二限は物理、三限は化学、四限は世界史、昼休みを挟んで五限は英語、六限は現代文。

座学ばかりだ。菜都奈は朝から重いため息を吐いた。


けれど実際に授業を受けてみて、意外と快適だったことに驚いた。

まず、先生は一列目より後ろをよく見ている。一列目は先生の死角になることが多かった。よって意外と船を漕いでもバレない。さすがに早弁をする飯塚は不便を感じるだろうが。


そしてマンツーマンの如き授業。ノートに写すペースは完全に菜都奈が主導権を握ったようなものだった。先生は菜都奈が書き終えたタイミングで話を進めるし、書き詰まった箇所には説明を付け加えてくれる。

後ろの席に座っていると黒板の字もいくらかぼやけていたし、背の高い生徒で下側が隠れることもしばしば。加えてお喋りが先生の声をかき消す。


一列目の席はそれら全てがない。クリアな視界にノイズキャンセリング機能つき。

一列目は穴場だった。菜都奈は軽く感動して、けれど睡魔には勝てず、六限の現代文で先生に机をツンツンと突かれた。

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