2022.9.24(sat)後夜祭と小籠包



クラスの出し物も写真展も上々だった。

プラネタリウムの上映スケジュールは三十分に一回のハイペースだったのにも関わらず、毎上映満員で、外で列ができるほど。菜都奈も文香と一回聞きに行ったが、中々ない雰囲気の良さはこのクラスにしかない目玉だ。


写真展も柊の集客力によって、アンケート用紙が足りなくなるほどの賑わいを見せた。菜都奈が担当した時間帯のアンケートには「ダウがかわいい」と半分くらいの人が書いてくれていて大満足だ。

夕方、始まりの時と同じように放送で文化祭の終了が告げられた。けれど生徒にとってはここからがまた楽しい。後夜祭の始まりだ。


写真展の撤収作業を終えてから菜都奈は教室に戻り、クラスの片付けを手伝う。後夜祭が始まる頃には大体終わり、菜都奈は校庭に出て尽と合流した。

午後六時。

「今日の散歩は両親に任せたから、僕久しぶりだよ。こんな夜にまだ学校にいる」

「後夜祭って何やるのか知ってる?」

「有志でバンドとか歌とかダンスとか……あと生徒会主催でビンゴ大会するって」


時間になると、尽の言う通りバンドの演奏が始まった。

それから三十分後にビンゴ大会だとカードが配られたが、菜都奈はダブルリーチ止まりで景品はもらえなかった。

「夕飯どうする?」

「僕駅前の中華行きたいな」

「あ、小籠包の旗立ってるとこ?」

「そうそう。小籠包食べたい」


すっかり暗くなった夜道を歩きながら、菜都奈は帰り道で私服に着替えた柊を見つけた。コンビニから出てきた柊は「あれ、」と声を漏らす。

「あー、もしかして後夜祭? お疲れさま」

「竣先輩、帰るの早いですよ。しかもそれ夕飯でしょう。コンビニ弁当ばっかだと体に悪いんですよ」

尽はそう言ったが、菜都奈には見えていた。ビニール袋の中身は弁当ですらない。おにぎりだ。柊は誤魔化すように笑みを浮かべる。

「はは、手厳しいな。どうしても食事を後回しにしがちでね」


「柊先輩も一緒に食べますか? 私たちこれから中華で小籠包食べるんです!」

「……そっか、今からなのか。じゃ、お邪魔しようかな」

おにぎりは明日の朝ごはんだ。

菜都奈たちは中華料理屋に入ると、食べ切れるか怪しい量を頼んで、ヒイヒイ言いながら食べた。柊は少食なのかと思いきや、たくさん食べた。


柊が頼んだ砂肝は、初めて食べたが病みつきになる美味しさだったし、尽が頼んだ餃子は、想像の倍は大きくて腹が捩れるほど笑った。菜都奈ははち切れそうな腹を抑えて、すっかり冷めた小籠包を頬張った。

文化祭の高揚は小籠包を食べるたびに弾けていく。

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