2022.9.16(fri)サムギョプサル



放課後にプラネタリウムを作って、六時に解散になった。菜都奈が帰ろうとすると篠宮が「ねえ」と呼び止める。

「よかったら夜ご飯食べに行かない? みんなと話してたの」

「! もしかして、この間言ってた韓国料理?」

「あぁ、それもいいね」

篠宮は他に田中、川口、佐倉、真村、新田を誘っていた。結構な大人数である。教師に急かされつつ教室を出て、ゆっくり坂を登りながら菜都奈は『夜ご飯友達と食べてくる』と親にメールを送った。


篠宮が選んだ店は三駅先の駅前の韓国料理屋だった。大人数でも店員は平然としているし、店内は広かった。

「ここはサムギョプサルが美味しいんだ〜」

菜都奈たちは注文を篠宮に任せ、やがてやってきた肉を斜めに傾いた鉄板の上で焼く。

「肉の脂が流れてくから脂っこくなくていいでしょ」

「あー、だから斜めなのか! てっきりズボラな店なのかと思った」

新田が冗談、と笑う。


「この……サンチュで巻いて食べるんだよね?」

川口はどんどん運ばれてきた他の食材を眺めながら尋ねる。

「うん、キムチとか挟んでも美味しいし、このマッシュルームとか玉ねぎとか、何でも好みで試してみて」

真村は言われるままに片っ端からサンチュの上に具材を乗せた。当然丸められる量ではない。どうするのかと菜都奈が眺めていると、真村はサンドイッチのように最後にサンチュで蓋をしてかぶりついた。それを見ていた佐倉も菜都奈と目を合わせて笑う。

「ハンバーガーみたいだな!」


田中は器用に丸めて、手を汚さず食べている。菜都奈も習って気持ち少なめに肉とキムチを乗せて食べた。

「おいしい〜! 永遠に食べ続けられそう!」

余分な脂を落としているだけあって、意外とあっさりしている。キムチが合わされば、なるほど、篠宮が韓国料理を好きになったのも十二分に理解できた。

みんな食べるのに夢中だった。やれキムチをとってくれだの、やれ玉ねぎを、マッシュルームを、肉をもっとだの。騒々しくも一瞬で過ぎ去った時間だった。


菜都奈たちは店の前にあった自販機で炭酸飲料を買った。なぜか無性に飲みたくなったのだ。

日中は夏ばりに暑いのに、夜は一気に秋らしい風が吹く。菜都奈は炭酸飲料を一気に飲んだ。

「っぷはあ!」

涼しい風がまた気持ちよかった。

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