2022.9.4(sun)雨戦士の散歩
せっかく日曜日こそは出かけようと思っていたのに。
昨日一日考えて――結局あまり決まらなかったけど――早起きをしたら窓の外からザアザアと音が聞こえた。
まさかとは思いつつ、カーテンを開けたら土砂降りだった。菜都奈はベッドにダイブする。
「あ〜〜もう! 天気予報見とくんだった」
携帯でいつ止むのか調べたら、今日は一日降っているらしい。これでは出かけられない。
家の中でできること……ゲーム、料理、勉強は嫌、漫画を読むか、いや、あえて外に出るというのも……。
ベッドの上であぐらをかいて長考した。しかし結論は出ない。
菜都奈は片目を開けて携帯で素早く尽にメールを送る。
『今日ひま?』
するとすぐに電話がかかってきた。尽はいつも早起きしている。
「もしもし。ごめんね、急に。今日出かけようと思ったら雨降っててさ、暇なんだよね」
「僕も暇だよ〜。でも今からダウの散歩に行かないと。一緒に行く? 雨だけど」
「雨でも散歩? 大変だね」
「他の犬は知らないけど、ダウは毎日行かなきゃいけないんだ」
「そうなんだ。雨合羽どこだっけ……私も行くからちょっと待っててくれる?」
「はーい」
いつもは雨だと外に出るのを躊躇う。けれど今日は外に出たい衝動が勝った。それに尽とダウと一緒なら、雨の中の散歩も楽しそうだ。
菜都奈は部屋のクローゼットから、去年着たっきりの雨合羽を引っ張り出した。
家を出ると、さすがの雨に怯むが、すっぽりと帽子を被ってしまえば雨粒の当たる感触は新鮮だ。
尽の家の前に着くと、玄関で待っていたのか尽とダウはすぐに出てきた。ダウも黄色い雨合羽を着ている。
「ダウ〜、かわいいね! 散歩行こうね〜」
「菜都奈は大丈夫? 雨の日の散歩慣れてないでしょ」
「平気平気。たまには楽しいし」
「そう。ちゃっと行ってちゃっと帰るよ」
菜都奈は敬礼のポーズをする。一人と一匹の散歩は大股歩きだ。菜都奈は置いていかれないように急いで横に並ぶ。
ダウは勇ましく前を見据えて小走りしており、菜都奈はたまらずに笑った。
雨の戦士みたいだ。
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