2022.8.31(wed)帰りの電車
館内を一周したはずなのに、水族館のお土産売り場は菜都奈が初めて見る生き物で溢れていた。ダンゴムシのようなものから、見分けのつかない魚のフィギュア。見た目が怖かった生き物も、土産売り場の魔法にかかれば愛らしいキャラクターに早変わり。
「わー、これカッケー」
啓介が持っていたのは、細長いサメの形を模したボールペンだ。その隣で風輝が持っているのもサメの人形。男の子はサメが好きだ。
菜都奈は尽たちの分のお土産も買って、リュックサックの中に仕舞い込んだ。
帰りの電車内はオレンジ色の夕日が差し込んでいた。たくさん買ったお土産の袋を抱えながら眠る啓介。菜都奈は啓介の親に帰りの時間をメールして、今日一度も開いていなかったアプリゲームのログインボーナスを端から受け取っていく。風輝はイヤホンで音楽を聴いていて、静かな車内に啓介の寝息が少しだけ漏れ出ている。
明日からは学校だ。
早起きは多少面倒臭いが、どうせ明日は始業式だけで午前中に終わる。夏休みの延長だ。だから今日はまだ土曜日みたいなもの。それに夜はこれからだ。
今日の夕飯は何だろう。お腹が空いたなあ、と菜都奈は唾を飲む。動物園に行っても肉は食べたくならないのに、水族館に行くと寿司が食べたくなる。不思議だ。車内に菜都奈の腹の音が響くが、風輝も啓介も全く気付かず、少しだけ恥ずかしかった。
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