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「調べるといっても、何から調べるんだ」
俺と凪元は作戦会議を続けた。
「とりあえず、会長の家に行ってみて何かないかを探るのは?家の中には入れないかもだけど」
凪元なら、なんのことは無しに入れそうではある。が、凪元が入れても意味がないか。
「家に中に入れなくても、近くにいれば能力の痕跡を感じられるはずだ」
遮蔽物があろうと俺は基本的に能力の使用を感じることができる。意識していればだが。後は時と場合による。
だから、家の中に入って探す必要はないし、家の人と交渉して家に入れてもらうというのは俺には向いてなかった。
「そう?なら、会長の家には行こうか。副会長さんから場所聞けば全然教えてもらえそうだし」
だか、見つけた後はどうする?
実際に見てからでないと正確な予測は立てられないが、何も手がかりがなかったら対処のしようがない。
「何も見つからなかったら……会長が金曜の夜に向かった場所とか、そういうところに行けばいいのか?」
「そうだね。多分そんな感じ」
「場所はわかるのか?」
「どうかなー。僕の方でも当たっておくよ。副会長さんとか知ってるかもしれないし」
なるほど。もし手がかりがなかったとしても、打つ手なしということにはならないか。
少し俺の気も楽になった。
「会長や副会長や夢見坂も能力者かもしれないんだろ?奴らの能力についてわかったことはあるか?」
「いや、確定的なのは何も。会長は記憶を失わせる能力ではないかも?という予測は立つけど」
「そうなのか」
「うん。だから、副会長や夢見坂ちゃんのどちらかが記憶を操作できる能力じゃないかなって睨んでる。もう片方はどんな能力かはわからないけど」
「会長の能力の手がかりが欲しいな」
「会長は、普通だったら事件に巻き込まれないだけの力はあるみたいだったな。何らかの事件に巻き込まれるなんて絶対にありえない、って言ってたよ」
絶対にありえない……強く出たな。
となると、原理的に起こらない、ってことか?
「因果律などを操る能力か?ただ、それだったらいなくなってる理由をつけるのが厳しいか」
「因果律操る能力なんかあるの?すごいな」
俺も何回か体験しただけで、とても詳しいというわけではないが、アレは強烈な体験だった。
因果律を操るのなら、絶対に誘拐などされないようにもできるはず。
しかし、それでもいなくなっている。
軽く口に出しただけだが、可能性はだいぶ低そうだ。
「いや、すまん。恐らく今回の件には関係ないだろう」
「でも、因果律操る能力があるんでしょ?どんなのか僕にも教えてよ。万が一ってこともあるかもしれないじゃん」
完全に脱線した。だが、仕方ない。俺のせいだ。話すか。
俺は関係ないとは思うが、と前置きをして以前に体験したことを話した。
「因果律、と言っても、凪元が考えるようなものとは違うかもしれない。その能力の使用者が言ってただけだから。
だけど、俺が体験した中では起こるはずのことが起こらなかったり、あるべき過去が消えていたりと、不思議なことが起きていた」
「例えば?」
「火炎放射器で家を燃やそうとしているのを見せられたが、その家は燃えなかった。
家を燃やせば当然燃えカスになった家が残るはずだし、火事にもなるはずなんだが、家は綺麗なままだった。
家が燃えるという結果を起こらないようにした、と言っていた」
「つまり……?次に起こるだろうことをなかったことにできるとかそういうこと?」
「そうだな。師匠が言うには、現象を操作することができるって言ってたな」
「現象を操作……」
「あぁ。制約はあれど、自分が起こしたい現象を起こすことができるらしい。
後は、過去の痕跡を消すこともできていた。
例えば、部屋の窓を割る。その窓を映してる防犯カメラがあったんだが、そのカメラには割った本人が映っていなかった。
実験を観察する役割の人が窓を割ったのを見ていたにも関わらず、目撃証言も上がってこない。
いつの間にか窓のガラスが割れていて、誰も見ていないことになった。
窓を割った本人は俺が割った、と言っていた。そう認識している。
どういうことになっているのかは、俺にはさっぱりだ。支離滅裂な夢の中にいるかのような。頭がおかしくなりそうな。
俺に言えるのはこういうことがあった、ということだけだ。原理なんてものはわからない」
「相当エグいことできそうだね」
「強烈な能力だった。人が持っていていい能力じゃない」
こんな能力を持っている存在が敵対したら、今の俺たちには勝ち目はない。
「仮に会長がそんな能力を持っていたとしたら、誰かにさらわれる、だとか、どこかで事故った、とか、そんな事態には絶対にならない」
絶対にありえない、という言葉に反応して連想してしまっただけだ。
状況を考慮して思いついたわけではない。
「なるほどね。それが関係ないと判断する根拠か」
「そうだな。そういうことだ」
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