67-「初めて能力者に襲撃された」①


それでも同じように体育館を張らないわけにはいかなかった。

ボールが勝手に落ちて転がってくるには何かしらの仕掛けがあるはずなんだ。

それが能力を使ってなのか、工夫を凝らした自然現象の結果なのかはわからないけど。



部員の方は待つことに慣れてないから早く解決しないかと特にヤキモキしているはずだ。

霊障があるからということで、練習もまともにできないし、気が気じゃないだろう。

その気持ちはわかる。


僕の方は、こういうのは焦っても仕方ないとはわかっていても、次々と雪崩れ込んでくる怪異に対しても対応する必要があるので、これは早めに解決したいところではあった。



体育館の張り込みを始めてから2日目。今日は部活が終わる前から近くで張っておき、誰もいなくなった辺りで調べて何か見つけられたらいいなぁ、と軽く考えていた。7時前に学校に来て、みんながいなくなるのは9時以降。下手したら先生はいるかもしれないけど。

定時制とか、そういう特殊な時間帯に来る人はいなかった。


昨日と同じように、体育館周りの様子を見て、体育館の外から壁の様子を窺う。

そうしていると

「ブオン」

と物がかなりの勢いで風を切る音を聞いた。

耳を済ませていたから、ヤバいと判断できた。

間一髪、すんでのところで避けられた。

体育館の壁の方を見ると、ぶつかった後が。

下にはコンクリートブロックが落ちていた。

小さいカケラも数個落ちてるようだった。


マジぃ?これ、ヤバくね?当たったら死んでたでしょ。


割りと洒落にならない攻撃を仕掛けられた。威力的には致死級だと思われる。あるいは死にはしなくとも、少なくとも病院送りは決定じゃないかな。

誰かが面白半分にやったにしてはタチが悪すぎる。

明らかに僕を狙った攻撃だ。


こんな直接的な攻撃、一体どこから?

壁の跡とブロックが落ちてる場所から軽く方向を確認した。



さっと周りに気を配り索敵する。

目の届く範囲にはいないようだ。

光学迷彩で隠れていない限り。


僕がいたのは体育館の裏側だけど、ほとんど角のところだ。

ここから離れようとすれば、離れられる。


だけど、壁を背にしているので、後ろからの奇襲はない。

下手に逃げないで、相手の出方を窺った方がいいかもしれない。


だけどきっと相手は能力者だ。

初めて遭遇する。

少しテンション上がってきた。

僕が思いもしないやり方で攻撃してくるかもしれない。

その事も視野に入れて行動しないと。



3秒考えて方針は決めた。

やっぱりここから逃げる。


既に体育館の中の幽霊騒ぎについての意識は飛んでいた。相手の攻撃力の高さを考慮した結果、自分の身の安全の方が大事だと判断した。

今はこの場からどうやって安全に立ち去るか、そういうことを考えていた。


迎え撃つには情報が少なすぎる。

逃げるが勝ちだ。

逃げている間に何か妙案が浮かぶかもしれない。

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