61-「どういう状態なんだろう?」
「はぁ……。やっべえよこれ……1分もたないのはポンコツすぎるでしょ」
「ねぇ。どうしてこんな風になってるの?」
古今泉ちゃんが僕に聞いてくる。いや、僕もそれがわからないんだよね。
僕がわからないことなんて、分かりきっているだろうに。でも、古今泉ちゃんはそれを僕に聞かざるを得ない程には疑問に思う気持ちが強いんだろう。
気持ちはわかる。
「わからない。でも、多分これが能力って奴なんじゃないかな?何で木々村くんだけこんなことになってるのか?も気になるよね」
僕は古今泉ちゃんに返し、続けて木々村くんに問いかける。
「ねぇ、木々村くん。能力者についてなんだけど」
「ああ、何だ」
「記憶を奪う能力って心当たりないかな?」
「記憶を奪う能力……。記憶操作とか?」
「そう!それ!」
「記憶操作……。池崎龍弥が実は記憶操作も出来たらしい」
「マジ?もう、それじゃない?答え」
「何の答えだ?」
「もうダメだ。古今泉さん、僕はもうダメだよー。
話が通じなさすぎるボケボケの木々村くんと話すのは難しいよ」
空き教室の椅子に座って、机の上にヘタれる。
「何その声。ふにゃふにゃになりすぎ」
古今泉ちゃんは僕の声が高くなったことに関して笑った。ウケが取れたようで何より。
ウケが取れてスッキリした僕は上半身を起こし、普通に座って古今泉ちゃんに近くに来させ、コソコソと尋ねる。
「ねぇ、どうしたらいいと思う?」
「うーん。木々村くんの上司の人に聞いてみるとか?」
「上司?ああ、確か、師匠がいるって言ってた気がする。その人に聞くしかないかなぁ」
木々村くんが言うには師匠は厳しいみたいだから、自分の失態を知られたくないって思うかもしれないけど。
「でも、連絡先知らない」
「そこは木々村くんに直接してもらうしかないでしょ」
「大丈夫かな?」
「うーん。学校外だと割りと普通だから、多分学校から出れば話は通じると思うんだよね。だから、後いくつか検証して、その結果を書いて木々村くんに転送してもらうようにすればいいかなって」
「そうだね。それがよさそう」
「もし、学校外でもポンコツだったら、連絡できないと思うから、木々村くんから連絡先教えてもらって、僕が直接伝えるしかないかもしれないけど」
「それは……」
古今泉ちゃんはそこまで悪い状態だったらどうしよう、とお医者さんから直接通告を受ける前の患者の親族のような顔をした。
「多分ないと思うけどね。昨日木々村くんから連絡来た時は大丈夫そうだったし」
「昨日連絡あったんだ」
「うん。木々村くんの方からね。協力して欲しいって」
「何を?」
「あー、なんて言うんだ?僕の方に関係あるんだけど、この学校の不思議なことの噂、えっと、グラウンドで走ると足が切れるとか、校庭にいる爬虫類の話とか、そういう系の話。古今泉さんは知ってる?」
「うん。でも、校庭にいる爬虫類ってアレ不思議なの?ただ単に脱走したペットが来ただけじゃないの?」
「まぁ、そういう解釈してもらえると助かるね。でも、木々村くん、知らないんだって、この噂」
「そうなんだ……まぁ、でも知らない人もいると思うよ」
「うん。でも、木々村くんがここに来た目的とか考えると、それはおかしいって思ったみたいなんだよね」
「ふーん」
木々村くんの目的は、この学校で起きる不思議な出来事を調べること。それなのに、不思議な出来事を認識していないのは、不自然だったという話。
古今泉ちゃんはこのことは知らないのかもしれない。
今回、木々村くんが協力して欲しいと言ったのは、何故木々村くんが認識していないのか?を検証するのを協力して欲しいって話だった。
ただ、それを確認する前に、もっと大変なことが生じてしまった。
「ごめん、戻ろうか。後何検証しようか?」
僕は古今泉ちゃんに、木々村くんが何に協力して欲しいのかを明確に答える前に話を進める会話をしてしまった。
僕が質問の返事をしなかったにも関わらず、うーん、と少し上方に視線を動かし、思索に老ける古今泉ちゃん。
「持続条件とかさっき言ってたと思う」
ちゃんと考えてくれるいい子だ。
「あー。言ったね。でも、さっき1分で忘れちゃったんだよね……。色々と試すしかないかなー」
「でも、さっき話してた時、確実に1分以上記憶保ってた時あったよね?私を視界に入れつつ、能力を感じるか?ってのを試してた時。多分1分以上…3分くらいかな?かかってたと思う。その時はずっと記憶があった。多分、能力に関わることをずっとしてたから、なんじゃないかな。だから、覚えてた」
お、流石、古今泉ちゃん。ちゃんと考えられてる。説得力がある。ただ単に勉強が出来るだけって訳じゃないんだな、と思う。
「なるほどね。確実な持続条件はそれかもね。その線で試してみようか」
木々村くん、能力のこと変に隠そうとするんだけど、ちゃんと話を続けてくれるかな?
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