56-自覚なし



「ここのところ連日出かけてるけど、手がかり何もなしだよー」


ご苦労なことだ。


確かに、調査して手がかりがないということはがっかりするかもしれないが、基本的に調査というものは、そういうものだと聞いている。


しかし、問題は


「その中の何回か俺も一緒に行ってることになるんだな」


そう。俺も巻き込まれ始めた。

凪元と一緒に車に乗ったり乗らなかったりで移動して、凪元が何かをして、俺はそれを眺める。

そして、能力の関わりがないかを調べるということをやらされていた。


しかし、どれも大きな情報を得られなかった。連れて行かれたどれに対しても、俺は能力を使った痕跡を感じられなかった。


もう既に3回くらい行ったか。


実は今日もそれの帰りだ。

今回の怪異は呪いのお面だった。



「木々村くん。僕はこの辺りの怪異とかを調べたり、それによるトラブルを解決するためにこの学校に来たって言ったよね」

「あぁ、確かに。言ってたな」

この前、洋館に連れられて行った時に言っていたような覚えがある。


「この辺りは不思議なことが起こりやすい土地柄みたいなんだ」


この辺りは能力者が生まれやすく、またそれによる事件も起こりやすい。それと同じように、怪異による不思議な出来事も起こりやすい土地柄のようだ。


「それは、実はこの学校も例外じゃない」


「ふーん。それは大変だな。でも、学校なら近いのが不幸中の幸いだな。学校が終わった後に車で出かけるよりはマシだろ」


「そういう見方もできるかもね。

あ、そう言えば、僕たちの学校にも、あるんだよ。知ってる?」


「何がだ?」


「能力者が介入してるかもしれない怪異の事件」


「そうなのか。」


「最近よくあるよ。ほら。例えば、グラウンドとかで走るといつの間にか、脚に何かに引っかかったような傷ができるとか」


「かまいたちか」

「でも、その傷は次の日には治ってるって」

「本当に怪我をしていたのか?」


「後、花壇に植えた花が移動してるって」

「それに何の意味が?」

「夜のプールで誰かが泳いでるとか」


「夜の学校に誰か侵入してるのか。無用心だな」


「うん。木々村くん、学校で起きてる不思議な出来事について全然関心がないね」


「いや、驚いている。そんなものあったんだな」

本来ならそんなのは、俺が一番飛びつきそうな話題だ。

そう言ったことを調べるためにこの学校に来たんだ。

俺が凪元に「全く関心がないね」と言われるような反応をするのは、単純に凪元が鬱陶しいからだ。

それ以外に理由はない。


けれど、今俺ははっきり自覚した。

これはおかしい。


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