55-大工の能力とゴーストバスター


師匠には凪元に関しての話を伝えなければならなかった。


「今日のことについての報告です」

「聞こう」

「凪元に連れられて凪元の仕事現場に行きました」

「それは聞いていた通りだな」

事前に凪元に連れられてどこかに行くということを師匠には伝えておいた。

今回はそのことに関して詳しい話をしようと無理に時間をとってもらったことになる。

「はい。順を追って話すと長いので、大切なところを先に言います。凪元は、自分の仕事に能力者が関わっているのではないか?ということを俺に伝えたかったようです」


「もう少し聞こう」


「建物を一晩で建てたりとか、あるいは、超短期間でかなり大きな洋館を建てたりできるような能力者っていますか?」


「大工の超強力版か?」

「そんな感じです」

いや、本当にそんな感じなのか?自分で言ってて疑問に思ってきた。

「それは組織内に、ということか?」

「いえ、組織内に限らないつもりでした。組織内にはおらず、組織外にはいる、ということですか?」


「いや、組織内にも組織外にもいる。だが、今お前のところに送るのは無理だ」


「いえ、そういう意味ではありませんでした。そういう能力が関わっているのでは?ということで」


「……順を追って説明を聞いた方が良さそうだ」

師匠に気を使われてしまった。


師匠に話を促され、全部話した。

凪元に仕事に誘われたこと。

凪元が行った仕事について。

今回の洋館は一見古そうに見えるが、実際は古くなさそうだって話。

洋館が能力によって建てられたのではないかと凪元が考えてたこと。



「凪元は、他にも情報を持ってるから能力者が関わっていると判断したんだろう。お前から聞いた情報だけでは洋館の建築に能力者が関与してるなんて判断はできないはずだ」


「他に情報って、例えばどんな?」


「それはわからない」

師匠でもわからないか。


「外部の能力者か……」

師匠が独り言のように呟いた。これは、レクチャーが始まるか?

と思ったが、始まらなかった。


「凪元は、自分の仕事に関してお前に噛んで欲しいんだろう」

確かにそんなようなことを言っていたような気もする。

「最近数が多すぎる、とも言っていました。だから、手を貸してほしいのか?と聞いたら、それも魅力的だとか言ってました」


「数が多すぎるというのは気になる。それは凪元が言っていたのか?」

「はい」

確か言っていたはずだ。数が多すぎると。


「状況はわかった。また私の方からも連絡をする」


師匠は通話を切った。

師匠には何か思い当たる節があったのだろうか。俺は何もわからなかったが。




師匠との通話が終わった後、殿子さんと話をした。


「殿子さんって幽霊とか妖怪って信じますか?」

雑誌をペラペラめくっていた殿子さんは、俺の方を見るために顔を上げた。

「幽霊とかかー。いるらしいねー。私は見たことないけど」


「知ってるんですか?」


「まぁ、この業界にいればねー」


「俺は今日、初めて見ました。その、まだ現実化はしてなかったみたいですが」


「狭間の世界みたいなところにまずは生まれて、歪みが大きくなると現実世界に出てきちゃうみたいだね」


「詳しいですね」


「私も10年以上この業界にいたからね!」

イエイ!とピースサインを俺に向けてくる。


殿子さんも能力者だ。どんな能力があるのかは知らないけれど。

殿子さんは俺の前で能力を使ったことがない。俺が殿子さんの能力の使用を感じたことがないから確かだと思う。


殿子さんは俺が師匠に拾われる前から組織のお世話になっていたという話を前に聞いた。

俺が拾われたとき、殿子さんは高校生だったか大学生だったか。その辺りだったように思う。


小学生で、両親を亡くし、腐って生意気だった俺にもよくしてくれた。俺に向き合ってくれた。

あの時のことは感謝してもしきれない。


俺の中で殿子さんはとても大きな存在となっていった。


そんな殿子さんが今も変わらず、俺と接してくれているのが嬉しい。


「良平くんもゴーストバスターやるの?」

「ゴーストバスターって呼ばれてるんですか?」


「お化け退治と言ったらゴーストバスターじゃない?」

なんか、ゴーストバスターって名前、すげーだせーな。そのまんまだし。


「え?そんな気に入らない?昔そういう映画が流行ったんだよ」

「そうなんですか?」


「そーだよー。あ、そうだ。今度休みの時一緒に見てみよう」


「大丈夫ですか?怖いやつじゃ?」

「えー、そんな怖いやつじゃなかった気がするけどなぁ。もうちょっとギャグ寄りの」


殿子さんはケータイで調べ始めた。


「ほら」

と画面を見てみるとコメディと書いてあった。

「なんか、面白そうなやつですね」

「そうだよー。じゃあ、今度のお休みに一緒に見ようよー。あ、なんだったら、色々な映画とかを沢山見ようよ。こっち来てから一緒にのんびりしたこと全然なかったでしょ?たまには映画でも見てのんびりしようよ」

そもそもこっちに来る前も映画は全然見てなかった。

でも、殿子さんがノリノリでウキウキなので、俺は了承した。


今度の週末が楽しみになった。


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