54-森の洋館〜攻め立てるマシンガントーク
「いやー。僕も詳しくは知らなかったんだけどさ。
轟剛力先輩のこと調べてたら、僕らとは違う系統でさ。普通の人は持ってない異能を使ってるって話だったじゃん」
「だったじゃん、ってのは僕が調べたらそうだったってことね」
「だから、僕もそういう能力を持ってる人たちのこと、少しは知ってるんだ。能力者って呼ばれてるらしいけど。そのまんまだね」
「木々村くんはどちらかと言うと、能力者の方だよね?轟剛力先輩とやり合ったってことは、多分そういう方面だと思ってるんだけど」
「木々村くんを今日ここに連れてきたのは、この洋館が能力者案件だったら、木々村くんに聞いたら何かわかるかもって思ったから。木々村くん自身がわからなかったとしても、もしかしたら、誰かわかる人がいるかもしれないし」
「能力者が僕たちの領域に入ってきてて、ちょっと複雑かなって思うけど。いや、実際はその逆かな?僕たちが能力者の領域に入ってきちゃった?」
「どう?何かわかるかな?」
凪元は俺が黙ってるのをいいことにまくし立てる。
俺に情報を与え続けた。
凪元の仮説を聞きながら、俺の頭は凪元がどこまで知っているのかを考えることにリソースを多く使っていた。
だから、凪元の話の半分もわかっていなかったんじゃないだろうか。
「半年前に建てられたのでは、確かに不自然だな。わざと古さを醸し出してる。そう思わざるを得ない」
夜だったし、館の中には明かりが全くなかったこともあって、見た目で判断つけるにも覚束ないものではあったが。雰囲気だけで判断して古いものだと思ってしまった。
しかし、わざと古臭そうに見せる理由があったのか?
「そうだね。わざと古そうに見せたのは、きっと幽霊の噂が流れやすくするためだと思う。古い方がいかにも幽霊出そうでしょ?こういうのは雰囲気が大事だからね」
「そういうもんか」
「そういうもんだね。雰囲気がある方が噂が立ちやすい」
人間ってバカだから、という凪元の毒も聞こえたが無視をした。
「悪いが、俺にはわからない。半年前では、何の情報も得られない」
半年も前に使われた能力だと使っていたとしても俺にはわからないだろう。
「そっかー。残念だな。何かないのかな?認識を阻害する能力とか。あるいは1日でお城を作り上げちゃう能力者とか」
認識を阻害……。精神、記憶を操作する能力というのは記憶に新しい。
池崎がその能力を持っていた。
1日で城を作り上げる能力は……
建築物生成能力とかか?
それだと物質生成系になるか。
そういう能力があるのは知っている。
けど、俺が知っている限りではそんな能力の持ち主は知り合いにはいない。師匠なら知っているかもしれないが。
師匠に聞いた方がいいな。
「精神操作系の能力者もいるし、物質生成系の能力者もあるにはある。だが、詳しく調べないとどう関わっているのかすらわからない」
「まぁ、そうだね。調べないとわからないか。まぁ、でも、能力者の仕業っていう可能性はあるでしょ?それって木々村くんにも関係あるってことじゃない?」
凪元の目的というのは、自分の仕事に俺を巻き込むことだったようだ。
直接言葉にはしなかったが、俺は凪元に自分が能力者に関わりがある存在だと認めているのと同義だった。
師匠も前に話していたが、凪元くらいのやつになれば、見たら俺が只者でないこともわかるし、轟剛力とのやり取りで既に俺が能力の関係者だということも確信を持っているのだろう。
凪元に能力者の関わりを匂わされたのなら、俺はそれを師匠に報告をしない訳にはいかなかった。
そして、凪元がどこまで知ってるのかも俺は確認しておきたいところだが。
「ん?どうしたの?」
今は、金森さんに迎えに来てもらい、もう車の中に入っている。俺は凪元を見るだけに留めていた。
俺が凪元を見つめていたからか、凪元は俺に対して声をかけた。
「いや、何でもない」
「そっか。何でもないか」
じゃあさ、と凪元は漫画の話をし始めた。
余程漫画が好きなんだろうな。
マンガの話は適当に聞き流した。
だが、その腹いせか、別れ際に
「また怪しいところあったら誘うよ」
と不吉なことを言われた。
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