46-思った以上に打たれ弱い自分に驚く。泣きっ面に蜂。負のスパイラル
ここのところ、俺のミスが多くないか?
俺は焦っていた。動揺が激しかった。心がかき乱されていた。
大都市の雑踏の中、一人取り残された子供のように。何をすればいいのかわからない、明るい場所で、人がいるのに、自分一人だった。
このままでは俺の涙腺を絞り切ることになってしまうほどだ。
追いかけよう。
実際に涙が出るわけではないが、身を奮い立たせる。
古今泉を助ける。
そう思うと俺は歩み出せた。
しかしフラフラする。
少し歩いたところで、我に返る。
気づいたら公園にいた。
カバンの中はテスト前だから、いつもよりも多めに教科書や資料集などが入っていた。
だからだ。いつもより重い。
そして、こんな精神状態では、そうなるのも頷ける。身体に重さを支えるほどの力が入っていない。
気合いを入れ直せ。
パン、と自分の頬を弾く。
少し冷静になった。
そんな気分になっただけだけれど。
実際には心がかき乱されている。
しかし、改善したのが気分だけでも、やっぱり収穫はあった。
能力の匂いがしていた。俺は無意識に能力を感じる方向に進んでいたのかもしれない。
本当に、ほんの少し前にここら辺にいたんだな、と思わせるような匂いだった。
跡を辿ればどこに行ったかわかるだろう。
手がかりを得たことで急に身体に熱が戻ってきた。
まだ平常心になっているわけではなかったが、それでも、動くためのエネルギーは十分だった。
カバンは重いので、ここに置いていく。制服も上を脱いだ。凪元に連絡しておけば回収してくれるだろう。
全速力で走った。
何もされていなければいいが。
池崎は古今泉百々華との性交渉を交渉の材料にするほどの人間だ。
その妹の未来に対しての行為がどこまで及ぶかわからない。
逃げているわけだから、そこまで大それたことはできないはずだが。
5分ほど走ったり歩いたりして追っていた。匂いが近くなった。
歩みはそこまで速くはないようだ。
古今泉が抵抗しているのかもしれない。
匂いは別の場所に向かっていた。
先週、古今泉百々華が池崎のクルマに乗るために通った公園の方だ。
ここまで池崎は車に乗っていない逃げ方をしている。
だが、もしかしたら公園の近くに車が停めてあるかもしれない。
車に乗られる前に、池崎に追いつかなければ。
池崎が能力をずっと使い続けてくれて助かった。
そうでなければ、俺は池崎を追いかけることができなかっただろう。
俺からしてみれば、池崎は屁よりもくさいにおいをずっと垂れ流していたことになる。
だが、それも仕方ないことだ。池崎の能力は、使い続けなければ効力が出ない能力だったはずだ。長期間かけ続けるのが普通だったろうし、能力の匂いを感じられる存在も知らなかっただろう。
自分が歩く産業廃棄物だなんて、思いもしなかったに違いない。
池崎の能力がどれくらい時間がかかるものなのかはわからないが、古今泉の心が掌握されるのは不愉快だ。
早めに見つけ出したい。
探し回らなくても、簡単に見つかった。
というより、ルートがそこまで沢山あるわけでもないので、能力の痕跡を感じて進めば自然と目についてしまう。
古今泉は池崎に腕を引かれていた。
何でこんな人の目につきそうな場所でそんな目立つことをしている?
逃げる気はないのか?
ここまでかなり急いで来たので俺はかなり息は上がっていたが、走って駆け寄る。
走って駆け寄る音によって気付いたのか、古今泉がこっちを向いた。
俺の存在に気づいたようだ。表情を変えた。
古今泉が俺の方に気を取られているのに、池崎も気付き、こっちを見た。
顔をしかめた。
「何だてめえ」
池崎龍弥は俺を敵認定したようだった。
よく見ると古今泉の頬が赤く腫れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます