42-話が噛み合わない。聞いていた前評判からの予測と違った。
学校の側に近づいたら細かく場所を指定する。タクシーで位置を伝えられるくらいには場所を把握していた。
その道を伝えた後、古今泉百々華は
「家知ってるんだ」
と言った。
「あぁ、何度か行ったことがある」
「思ってた以上に仲いいんだね」
会話が続いた。俺が古今泉未来と仲がいい、ということだろう。妹のことになると興味が湧くのかもしれない。
古今泉百々華がこちらを向いて話し始めた。
「私の妹かわいいからさ。昔からモテるんだよ。ライバル多いから頑張ってね」
「いきなり何の話だ?」
「妹はモテるよって話」
「何でいきなり?」
「それにあの娘、愛嬌があるからさ、一緒にいると好きになっちゃう子が多いみたい」
「君はどうなの?もう好きになった?」
「だからいきなり何の話なんだ」
「君が私のためにすごく頑張ってくれてるからさ」
「でも君には私のために頑張る理由がないじゃない?」
「だから、君の頑張る理由は未来のためなのかなって」
はぁ、と俺はため息を吐く。
「古今泉未来のためにってのもあるが、これが俺のやることだからだ」
任務とかいう言葉は出さない。
「ふーん、そうなんだ」
納得したかどうかわからないような返事だった。多分納得してないだろう。
「あのさ、さっきから何でフルネームで呼ぶの?まだるっこしくない?」
「いや、普通だ」
「未来のことなんて呼んでるの?」
「何でそんなことを聞く?」
「私のこと呼ぶときは百々華でいいよ」
「その方が簡単でしょ?」
グイグイ来るな。勝手に話を進めてくる。俺の返事なんて求めていないかのような。
「何なんだ。急に」
「照れ隠し」
「はぁ?」
わからない。
今日集まりに参加してたことだって、今の会話の流れだって、古今泉百々華に関してわかるところが何一つとしてない。何なんだ、こいつは。本当に人類か?
「フルネームで呼ぶのと、下の名前で呼ぶのでは全然違うでしょ。未来も名前で呼んであげて」
「未来の最近気になってる人って多分君でしょ?」
「何を言ってる」
というより、古今泉未来の最近のことを知っている?どういうことだ?最近あまり話してないんじゃないのか?
「古今泉未来とそういうことを話すのか?」
「またフルネームで呼んでる」
「名前呼びが恥ずかしいのかな?」
ふふふ、と笑う。
これは……酔ってるのか?あんなパーティがあるくらいだ。もしかしたら、事故でアルコールか何かを摂取してこんな支離滅裂になってるのかもしれない。
「お前、水を飲んだ方がいいんじゃないか?」
「どうして?」
「あるいは……眠すぎるか?」
「そうだね。眠いかも。寝ていい?」
「あと少しだぞ」
「あー、そっかー。まぁじゃあ、じゃあ着いたら起こして」
と言って眠りに入った。
いや、後数分で着くのだが。
古今泉百々華は噛み合わない会話をしながらだったが、有無を言わせない勢いがあった。
自分勝手とも言える。しかし、古今泉は何て言ってた?
お姉ちゃんは人望もあって、人当たりもいい、と言ってなかったか?
いつもは気を使ってて、眠たくて今は素が出てたってことなのか?
本性は自分勝手なやつということなのかもしれない。
それから程なくしてタクシーは古今泉の家の前に着いた。
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