第28話 「この事務所、ちゃんとしているっぽい」私と友達2人は、安心していた。でも、あれ?どうして、母親は、無言だったんだろう?

 私の母親が、ペンを、すんなりと出してくれた。

 ペンを持ってきていない人って、どうするんだろう?

 「候補者の、皆様?こちらに、専用のペンを、用意してございます」

 おお。

 準備が、良いねえ。

 「ねえ、ねえ?」

 「…」

 「面接の後で、歌、歌うのかな?」

 「ねえ、レイカ?」

 「…」

 「2人とも、ごめんなさいね?この子、緊張しているのよねえ」

 するよ。

 そりゃあ…。

 ドキドキですよ。

 「ああ、それから…」

 「え?」

 「え?」

 「え?」

 「皆様?申し遅れましたが、簡単な面接が終われば、動画配信のリモートアピールに、切り替えようと思っています」

 「良かったね、レイカ?」

 「…」

 「この事務所、ちゃんとしているっぽい」

 「ですよね、レイカママ?」

 「…」

 何で、母親も、黙っちゃうんですか?

 15人いるらしい候補者のうち、数名が、通知書を、苦しそうに見つめていた。

 「私…1って、書いてある」

 勘違い、しそうだった。

 なあんだ。

 「我々は、前もって送られてきた応募書類を見て、レイカさんは、1番輝いていたと判断いたしました」

 …っていう意味の番号じゃあ、なかったのか。

 「あれ?最初に、オーディションを受けてくださいってことだよね?これって、不公平っぽくない…?」

 すると、また、タキシード蝶ネクタイが、大きく出た。

 「申し訳ございません!いじわるを、しちゃいましたね」

 え?

 「皆様?その番号は、これから、抽選をおこなう順番でしかありません」

 え?

 「面接の順番を決めるクジは、この箱の中にございます!」

 え?

 タキシード蝶ネクタイが担いできた箱の役割が、わかった。

 「皆様?この箱の中に、審査の順番が書かれた紙が、入っております。代表して、私が箱の中に手を入れ、順番の紙を、引き当てましょう。同じ人が引けば、公平。公平は、我が事務所の考え方でもあります!」






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