2022年10月

サイダー

 もともと炭酸飲料が好きな訳ではなかった。口に含んだときのバチバチとする感覚とか、飲んだ後にこみあげるゲップの感覚とかが、子ども時代の私には不快以外の何者でもなかった。これが人の飲み物かとさえ思っていた。だが何時の間にやら愛飲するようになっていた。酒を飲むようになったのも要因の一つだろう。世に出回る缶チューハイの類いのものは、殆どに炭酸ガスが含まれているのだから。

 数ある炭酸飲料の中でも、三ツ矢サイダーは上位に入る。透き通る純粋な感じが良い。例えばどこぞのエナジー系炭酸飲料とか、果物系の炭酸飲料とかは、味と風味と香り以外の科学的な雰囲気が強過ぎるのだ。喉元に残る科学的な甘さとザラリとした舌触りには思わず舌を出したくなる。其処をいくと、サイダーは味と香りを純粋に堪能できるから良い。微かな甘さと、強い炭酸と共にスカッと突き抜ける香りには上品ささえ感じる。自販機で見つけた時は思わず手が伸びてしまう。

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