時計

 高校に入ると同時に、ほぼ全員が腕時計を着ける。見えるところに常に時計があるとは限らない、時間は自分の責任で管理せよということだろうか。幼い頃は、腕時計を着ける=「大人になる」ことだとさえ思っていた。働き始めると、時計よりもスマホを見ている時間が長くなった。わざわざ腕時計を着けずともスマホで時間が確認できる。結果、腕時計は機能以上に嗜好品としての性格を強めたように思う。この時代にわざわざゼンマイ式の腕時計を着ける人がいるのはそういうことだろう。

 社会人は常に時間に追われている。何時までに家を出て、そこから何時まで仕事をして、帰宅後は何時までに何をしようか……この繰り返しだ。この文章も出勤前のわずかな時間で、端的かつ重厚な内容を目指して執筆している。かといってそれに対し嫌悪がある訳でもない。互いがパズルのピースである社会とはそういうものだと思う。その中で如何に自由を得るかはまだ研究の余地がある。

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