啜るという行為はかなり特殊な摂食行動だと感じる。細くて長い味のするグルテンを、息と共に吸う。普段の食事からすると異様である。そういえば海外の人は麺を啜れないというのはよく聞く話だが、先日それを肌で感じた。あるベトナム料理店に入った時のことである。つけ麺を注文し、出されたものは素麺の細切れに近かった。なるほど啜れないのは真理であるようだ。確かにパスタもフォークで巻き取って食べるのが通例だ。

 とはいえここまで細長い食材も珍奇なものである。一体何を食えばこの形状を思いつくのだろうか。素麺などその最たる例である。細さに対して執念すら感じる。確かに茹でたての素麺は艶も良く光っており、絹糸のような柔らかさと高尚な雰囲気を感じる。それでいて味は庶民的なのだから、人々が愛好するのも納得だ。ちなみに私も素麺は夏の必需品だとすら思う。と言いつつ、季節問わず無性に食べたくなる食材なのだから尚更不思議だ。

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