今日、また一つ年を取ったらしい。全く気にかけていなかった。子供の頃は誕生日が近づくとやたら落ち着かなかったのを思い出した。単純に、友人とか親からの誕生日プレゼントだとかケーキだとか、そういう与えられるモノに対する喜びもあった。しかしもう一つ全く異なる種類の喜びがあった。大人に近づいたという喜びである。あの頃は、漠然とした憧れを「大人」に対し抱いていた。大人っぽい服装と雰囲気で格好良い。つまり大人といえどそれは青年だった。

 ところが当事者、つまり青年になった今、年を取ることは過ぎゆく日常の一コマである。むしろ、これから老いることに対する漠然とした恐怖の方が強まりつつある。いつか書こうと思っているが、死は恐怖ではないが老いは恐怖だ。己を意思の下に動かせないことが、とても恐ろしい。だから逆に、「誕生日おめでとう」と朝から送られてきた友人からのLINEに、不思議な暖かさすら覚えてしまった。

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