爪を塗ってみた。所謂ペディキュアである。なぜ手に塗らないかというと仕事柄やらない方がよさそうなためだ。ペンキを塗るように色付けして完成ではなく、色素沈着を防ぐベースコート、ポリッシュ(色)、それを保護するトップコートの三層になっているらしい。さらに保存はなんと冷蔵庫が最適だという。冷蔵庫に薬品を保管するとは不思議だが、気温や日光で劣化するらしい。考えてみれば納得である。

 さて足の爪をくすんだ青と黒で彩ってみた。確かにこれは高揚する。箪笥とか机の脚にぶつけた時以外意識しない部位だからこそ、装飾した時のギャップは凄まじい。更に、これが見えない部位なのも大きい。仕事中という状況に相応しい靴を履いて仕事をするのは我々社会人にとって普通である。だが社会的制約の下では、色を塗った爪というある種の反体制が眠っている。社会では制約される自分が解放されたような感覚である。半年後の冷蔵庫内のポリッシュの数は予想できない。

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