第7話 恋文—夢見月(三月)

豪華絢爛、花々の香りに

ほんの少しの吐き気がする。


眩暈がする花香かおりに

私は深く深く、もっと深く

夢を抱いてしまう。


とき色、鴨の羽色、金糸雀かなりあ色、ひわ色、孔雀色

私は何色に羽ばたくのか。


貴方の肩に寄り添い

貴方の右手に絡みつく。


貴方は私の黒髪を美しいと撫で

私の碧い瞳を見つめるだろう。


私はくちばしで

貴方の目を刺し

貴方の血を舐める。


貴方の緋色に染まりたいのだ。


貴方も私の夢の中へ

堕ちてきたらいい。


ここは

無色透明なシャボン玉のように美しい。


私の翼で

どこにでも連れ出してあげる。

貴方が望むもの

全てを持ってこようか。


目覚めることは

決して赦さない。


貴方は私の翼なのだ。


私の色は貴方なのだ。


さぁ。

どこへ逝こうか。

貴方が訪れたこともない場所に

私と逝こう。



                來宮 理恵

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