第6話 恋文ー雪消月(二月)
貴方を見つけたこの夜は
この数十年の中で二番目に寒い夜だった。
雪はなくなり、川に戻ることなく氷になる。
黒い海や灰色の山から風が吹き荒れる。
とっさに巻いたマフラーが
もっと私の首をキツく締め上げる。
遠くの街灯が
黒い影を映し出す。
また、私を追いかけてきたの?
もう
追いかけてこないで。
私の左手首から滴り落ちる血は
貴方のために流しているものではないのです。
私は一体
どこに行きたいのでしょうか。
どうして
こんなに涙を流し、貴方を想い辛いのでしょうか。
この胸の中が見えますか?
貴方がただ欲しいと
貴方の睫毛に触れたいと
ここに縛られ続けています。
このまま
涙を凍らせたままいたいと
願う私が縛り付けているのでしょう。
今でも
今でもずっと
貴方を愛しています。
來宮 理恵
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