第14話 精神崩壊

領土を救った英雄となった少年は戦闘開始の丁度20分後に突如として発狂し始めた。

「あぁー」

虚ろな目をして覚束ない足取りで歩く少年。時折、奇声を発しながらポケットをまさぐる様子はまるで失った何かに依存して幻覚を見ているようだ。

「オッッェェェー」

何度目かわからない嘔吐。もはや胃液が喉を溶かし声も掠れている。衛兵が身柄を確保した後も気味の悪い掠れ声を発し、胃液を撒き散らし、仕舞いには脱水症状で気絶した。



~神side~

「精神崩壊起こしおったわい」

「薬の効果中はケロッとしてたのに残念ね。」

「地球とは環境が違い過ぎるからなぁ~アクセサリーの効果だけでは駄目だったかぁ~」

「しかしこれからの転生者が悉く精神崩壊しては、亜神に成長させて世界の管理をまかせる以前の問題です。」

「そうは言ってもいちいち精神力を強化するのも面倒臭いしの~」

「荒れ果てた世界であれば、戦闘狂系クズサイコパスを正義に浸らせて暴走しかけたら病死、何て言うののも悪く無いな。」

「その''素質"を持つ奴を探す方が楽で良いね!」

「なッッ! そのようなことをすれば私達もそのクズと同じでは有りませんか!」

「人間を産み出した神の言う事では無いの~」

「ガハハ、此は一本取られましたなぁ」

「ん!育成ゲームみたいに育てる!」

人間は神が作った存在だ。故に人間よりも慈悲深く、また人間よりも残虐なのだ。

例え全てが茶番劇だとしても今の命、世界が全てで人間は生きるのだ。難儀なものだがそこに神々は楽しみを見出だすのだった。



~人間side~

魔王軍との戦争だがかなり人間側が有利である。魔王軍の戦略は、勇者を魔王軍四天王の三人で足止めし、兵站の要を落としそのまま人類側を疲弊させるというのもだった。それによって超人の勇者を孤立させ、三人で囮をしデルフィルが初見殺しの奇襲をする事で確殺する流れであった。元々勇者が苦戦していたのは、四天王の三人が逃げに徹し耐久し続けたためだ。来るはずの無い四人目を信じて。勇者としても、兵站の要の地が攻撃された事での焦りもあり、本来の力が発揮できていなかった。しかし、勇者側には吉報がもたらされた。曰く、リストデルが魔王軍四天王の一人を倒し、兵站は滞り無いとのこと。此により、兵士達の士気も上がりより強くなった。一方、魔王軍はデルフィル軍の行方を掴めずにいた。リストデルが鏖殺したためだ。此によりいつまでも来ない援軍と疲弊しない敵軍に魔王軍は消耗させられていた。皮肉なことに疲弊していたのは、勇者を相手に耐えることしかしない四天王を筆頭とした魔王軍であった。

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ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

三人称視点に挑戦してみました。凄く難しいですね。

あと、次回ですがリストデルの精神を復活させようと思います。ただ個人的にここの描写を疎かには出来ないと思っているので、投稿は遅くなる可能性が高いです。気長に待って頂けると嬉しいです。










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