すべてのものが

すべてのものが


       すべてのものが語り

すべての優しさの内部に

         溶けこむと

 腹を立ててしまった

ほんのつまらない

おしゃべりが原因だ

繰り返してきた

この種類の腹立ちは

いつも決まって

同情や憐れみのあとに

やってくる

自分だけを生きていくしかない

卑屈さが

本当は腹立たしいに違いない

腹を立てた回数と同じだけ

心臓を掻き回して

あの人は 頼りなげ

歩いていくのだろう



 どれだけの朝を

     こうやって横になって数えたろう

   一米四方の

  少しは安心出来る空気の中から

生きて来たと同じくらいの数の

  苦い言葉  に  驟雨は

     まるで

   薄汚れた言葉を

掠め取っちまうのだと言い聞かせてきた

       そして

すべて

     決して背中を見せない

 優しさのすべてに

 溶け込んでいく

私の周りで吹き始めた

                   優しい風のように

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