幸福な家庭

 幸福な家庭



           えぐった時間の穴埋めに

           貧しい逆説が 

           肩を叩きあい座っていた

           宙ぶらりんの言葉が凍てつき

決断の時間もなく

食卓に 色も鮮やか並べられる

食事の前の祈りが交わされると

家族全員が皿を手に持ち

料理を投げ合うのだと言う

食事が済むと

安楽椅子を中心に 背を向け合い

     合唱が始まる

いつの日かマネキンが窓を埋め

道路を行きかう眼を微笑ませる

裏庭では      手品師が

血管と神経を剥き出しの

機械仕掛けの鳩に油を注している

えぐり取られた時間の穴埋めに

幸福な時間が訪れる

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