収穫の季節

   収穫の季節



         ⅰ

          寒い寒い 寒い

                言葉は訴える

            (誰と話しても)

          空っぽの声きり出やしない

          『佇む時刻』なんて

          そんな冗談ででも顫え出してくる


          遠去かっていく草いきれ


          頑固な風が風景の画布の中の扉を

          音立てて 容赦なく開けていく


               もう

             馬鹿げた冗談

               空笑い

             させないで欲しい


             そして 愛する人

             置き去りはいやだ


          ⅱ

           そんなに急がず

           もっとゆっくり


           すぐに消えてしまう言葉を

           何度も並べないでくれないか

              不器用だから

           同じ言葉を何遍も聴いていると

           言葉が頭の中でひらがなになって

              駆け出すんだ


           まるで他人の口振りはよしにしてくれ

                 ほら 

           躰がこんなに冷え切っている



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