2016

鷹山トシキ

第1話

 福島県白河市の工場で働く秋山和美は、社員寮で暮らしながら街で遊ぶことも男性と2人でカラオケ屋に入ることもしないまま実家に仕送りをしてきた。ある日母からそれでも足りないと金を無心された和美は、以前キャバクラに転職した元同僚の狭山貴絵からキャバクラ勤めに誘われたことを思い出す。金があまりないのでケータイも持ってないので、街の電話ボックスに入り、メモ用紙を出すが記録しといた元同僚の番号は雨で消えてしまっていた。困っていた所、声をかけてきたヤンキーから直接クラブに行くことを提案される。


 ただしクラブの開店までかなり時間があることから、和美はヤンキー、直樹に誘われてカラオケ屋を訪れ、明るい直樹との会話に花を咲かせる。おまけに彼は和美の好きな藤井フミヤの『トゥルーラブ』を熱唱した。

 続けて映画館に行くことになった和美は、初めて男性と2人で映画を見ている内に胸が高鳴り、直樹に恋愛感情が芽生えてしまう。

『さらばあぶない刑事』を見た。

 その後映画館を出ると和美は直樹からクラブよりいい仕事を紹介すると言われたため、クラブに行くことをやめて彼の行きつけのバーに案内される。


 和美はバーで初めて酒を飲んで気分が良くなるが、実は直樹はヤクザ組織に所属する舎弟で密かに彼女をいかがわしい店で働かせようと企んでいた。和美がトイレに行ったのを見計らい、直樹は組織の兄貴分、隼人と会って「彼女を夜の街で少し遊ばせた後21時にいつものホテルに連れて来い」と5万円を渡される。隼人は、これまで組員を使ってホテルに若い娘たちを連れ込み、女を襲って脅した後風俗店に売り飛ばしては組の資金にしていたのだった。


 その後直樹は和美と共にボーリング場を訪れ、プレイするが超下手で隣のレーンにボールがいってしまう。ケラケラ笑う和美に殺意を覚えた。

 直樹は後から来た若い娘と話し込んでしまう。直樹にヤキモチを焼いた和美は機嫌を損ねて店を出てしまい、彼女が逃げたと思った直樹も慌てて店を出て外を探し周る。数分後古本屋で和美を見つけた直樹は、「娘はただの知り合い。俺はお前が好きだ」と口づけを交わして信用させ和美とホテルへと向かう。“隼人”の到着を待つ直樹だったが、いつしか和美を本気で好きになっていたことに気づくと、突如心変わりして命令に背き彼女と逃げることに。


 2人はホテルを飛び出しタクシーに乗り込むと、隼人に捕まれば殺されるかもと考えた直樹が最後に贅沢をしたいと言い出す。別のホテルに着いた2人は豪華な食事をした後お互いの気持ちを伝えてベッドを共にし、和美は実家も仕事も捨てて彼についていくことを決める。

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2016 鷹山トシキ @1982

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