第43話


( なるほど…セイカがひとりに… )


( うん… )


( そうだな…それはね… )


( うん )


( ト… )


( ト? )


(イ… )


「 山代くん!」


ぷく~!!!


「 わかッちゃった?…怒った顔もかわいいじゃん!」


「 もう!いい!」


キンコンカンコン!


私が教室へ戻ろうとすると…


「 待ってよ……あいつさぁ…昼休みになると、屋上に貯水槽があってさ、たぶん、そこで飯食ってると思うよ、もちろん一人で… 」


「 屋上!? 」


「 中学の時からそうだった…あいつ、四六時中、女子から監視されているみたいで嫌だって 」


「 …… 」


「 だから、人目につかない場所で、いつもひとりでいるんだ… 」


「 ありがとう… 」


「 でも、ちびちゃん? 何をする気? 」


「 ひ・み・つ… 」


「 ちびちゃんは違うと思ったけど、他の女子と一緒だったのか… 」


「 ? … 」


「 告白するんだろ?…無駄だからやめたほうがいいと思うけど… 」


「 違う…上級生から頼まれたものを… 」


ハッ!…言っちゃった…


「 なんだ、それをセイカに渡すだけ? 」


「 そ、それだけって!?…私にしたら重大な事で…それに…引き受けた限り……約束は守らないといけないから… 」


「 まじめッ!でも安心したよ、まあ頑張って! 」


「 うん?… 」


山代くんと一緒に教室へ戻ろうとした時だった、廊下の奥の階段から女子生徒がひとり、こちらに向かって歩いて来た。



「 あなた達、授業、始まるわよ!早く入りなさい! 」



先生の声も霞むほどの威圧感を出しながら、彼女は私達に近づきながら、ニヤリ…と不気味な笑みを残して教室へ入って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る