第38話


行っちゃった…


紗世はまだ見ている


「さよ? いったいどうしたの?」


紗世はピクッとして我に返る。


「 ちびってすごい 」


「 わたしのどこが?」


「 どこだろ?…」


「 なッ何それ、自分で言っておいて失礼なッ!」


「 ごめんごめん…どうやって仲良くなったの?」


「 別に、なにも? 」


「 うそだ、教えてよ」


「 時間なくなっちゃうから、歩きながらはなそっ」


私達は生徒の列の中へととけ込んだ。


「で、彼、どんな感じだったの?」


「 山代くんは、チャラっぽいけど、ほんとはすっごくいい人で、セイカくんも無口かなぁって思ってたけれど、おしゃべりで面白い感じで、優しかった…」


「 あの高吉くんが? … 」


すると、後ろを歩いていた女子生徒が突然、話に割り込んできた。


「 あのさ、今高吉くんがって言ってたよね?

なに?どうしたの?教えて!」


一緒にいた子も話に入ってきて


「あ、それ!あたしも聞きたい!ねえ、高吉くんがうそって、な~に?」


よく見たら相手は二年生の人達だ。


「…え~とですね、その…高吉くんはやっぱり、いつ見てもうそみたいにカッコいいなぁってこと…ですが… 」


かっこいい!?…


それにこの人達も、セイカくんのことをそう思っている。


私…はっきり言って、セイカくんのこと、まともに見たことないからわからないけど、恥ずかしくて見れないのが現実、というか顔の位置が高すぎて見えないからっていうのもあるけど


こんなに人気があるんだ。


「 あなた、なにあたりまえのこと言ってんの?、でも、いいよね~あの、無口でクールなところもさぁ…」


「は、はい…おっしゃる通りです…」


タジタジになっている紗世だった。


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