第36話

話の途中で、急におしゃべりをやめてしまった紗世。


「 さよ? 」


彼女は、私に隠れながら、後ろの方をチラチラと見ている。


「 何を見ているの? 」


振り返ると、一緒に来ていた山代くんとセイカくんが、こっちを見て立っていたのだ。


すっかりあのふたりを忘れてました。


さよは私に腕を絡め、彼らから離れた場所までくると、ヒソヒソ声でしゃべり始める。


( ちょっと…どうなってるわけ? )


( どうって?)


( うちらのこと、あの2人見てたけど… )


( 天神川橋のホームで会ってから、ずっと一緒だったの )


( 一緒に? 山代はまあいいとして…)


( ?… )


高吉たかよしくん…も?)


( たかよし? セイカくんのこと?)


「うわッ!ちび!彼を下の名前で言ってるし!…シーッ!…」


( さよ、普通に聞こえちゃってるし)


( そんなのいいけど、もう一度聞くね!…後ろの高吉くんも? )


(うん!、セイカくんも一緒だった、まぁ聞いて!ぎゅうぎゅうでね、私、2人に挟まれてピタって…山代くんが後ろで、私とセイカくんがこう… )


私は紗世にハグをして実演して見せた



    

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