第35話

駅に到着した。


私が真ん中で、左右に男子と並んで歩いている。


こんなこと二度とないでしょうね


最初は、苦手な男の子とふたりの近くで、ドキドキが止まらなかった。


けれど、今は側にいてもあんまり緊張したりしなくなったような気がする。


それに…


逃げたいという気持ちが薄れて、逆にちょっとだけ、横にいる人をチラ見しようとしている。


彼の視界からは完全に外れているけれど。


「 ちびちゃん? 何ボケっとしてんの、早くいこうぜ 」


え?…


あ…う、うん…


と、心で思い静かに頷く


少し歩くと、駅ビルの待ち合わせ広場に、紗世が見えてきた。


真谷 紗世 まさたに さよ、同じく城東高校1年1組で中学時代からの親友、今のところ学校で話せるのは、この、紗世くらい


もともと内気な性格だから、お友達もなかなかできなくて…でも、紗世がいるだけで楽しいから、それだけで満足なのです。


その、スマホに夢中になっている紗世を呼んだ。


「さ~よ~!」


「ち~び!」


私の声を聞いて、走りよってきた紗世と手を握りしめあった。


「よかった~、心配してたんだよ!」


「うん、ごめん、いろいろあってね 」


「 何があったの?昨日もぜんぜん返信来なかったから………あ… 」


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