第32話



セイカくんの微笑みを見ていたら、私の唇も自然に微笑みの形に変わって…


そして、セイカくんのスーッとしたお鼻から更に…


勢いあまって目もとまで見ようとしたけれど…!!


キラキラと輝く瞳は眩し過ぎて見る事ができなくて…


慌てて目を逸らしてしまった。




電車が入ってきた。




今日はまた特別混んでいる、昨日とは大違いだ。


ラッシュには慣れていた、けれど、あと2人、いや3人、乗れるか乗れないかあきらめようかと迷っていたときだった。


「 ちびちゃん、ここ! 」


山代くんが私に順番を譲ってくれた。


ありがとう…


でも、ドアからはみ出してるし、男性ばかりで行きずらいからムリ


…次ので行くので…ごめんなさい


そう心の中で言いながら、手をフリフリして断った。


え!


いきなり私の手首がつかまれると、スっと、セイカくんの体に私の身体はスッポリ吸い寄せられ、ギュッてされて、私のほっぺはセイカくんの胸にぴたっとひっついた。


ほとんどハグ状態のままの私とセイカくん


!?…


私の身体はみるみる熱くなって、セイカくんにも気づかれてしまうくらい、たぶん、顔も、真っ赤になっているだろう。


大嫌いな男子と密着している


イヤ…



「 行くぞ… 」



ダメ…


ヤダ…



意思とは無関係に、訳もわからず頷きながら、セイカ君に身を任せてしまっていた。


セイカくんは後ろ向きのまま、私を抱き抱え車両に乗り込んだ。




    

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る