第29話
「 行ってきま~す! 」
ヒヤシンスの甘い香りが心地よい気持にさせてくれる通学路。
昨日の雨がウソのように、今日の澄みきった青空を見ると心も弾む。
しばらくして、あの橋の見える場所までくると、自然と立ち止まってしまった。
昨日の景色とは変わり、瓦れきやいろんな物が河川敷に落ちている。
あの橋桁を覗き込んだけれど、もちろんワンちゃんはいない。
元気にしてるかなぁ、チビちゃん
私はピンクの宝石をにぎりしめながら、チビの無事を願う。
きっと今頃はこの青空の下、どこか別の場所で散歩でもしてるのかなぁ、あの優しそうな…
飼い主さんと…
きっと
そうだね
今日は遅刻できない、紗世と約束したし早く行かなくちゃ
もう一度振り返り橋桁を見た後、私は駅に向かった。
改札を抜け、ホームへ歩いて行くと、列の最後尾に見覚えのある男子生徒が!?
う…
何故か怯む私の両脚
そこにいたのは、昨日電車で絡まれた山代くんだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます