第25話


ゆっくりと、スローモーションのように、私の体は川の中へ落ちて行った。


その上からチビも、私のあとを追うように落ちて来る。


途中で、チビが私の胸の中にスッポリ収まると、そのままふたりは冷たい川の中へ…


ザッバン!!



もうだめだ…


助けられなくてごめんね



チビちゃん…



「アンッ!」



チビちゃん?…


あれ?


冷たくない、というか、なぜか身体が暖かい


ゆっくり薄目を開けると…


見慣れない顔が上のほうにボヤけて見えて、にっこり笑って私を見ている感じがした。


すごく暖かそうな優しい瞳で、マユは細くスラッと長く、鼻筋もビューってして高く綺麗で、口もとを見ると優しく微笑んでいた。




この人がチカン?




とにかく・・


見たこともない綺麗な顔の人


私・・・


夢でも見ているのかな…


ここは天国ですか?


ふあっと、上着が私にかけられると・・・


ワイシャツの内側に、見覚えのあるピンクのハートのが見えて……


もしかして…


飼い主さんですか……


よかったね…



チビ…




私は安心したせいか、眠くなり、意識が遠のいていった。



…………



しっかりして…



ちび?…



大丈夫!?




なな…



せ……




アンッ




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