このエッセイは、心療内科の待合室という日常的で静かな空間を舞台に、作者の内面と、そこにいる人々への想像が丁寧に描かれていて、読んでいて胸にじんわりと沁みました。待合室での何気ないやりとりや、網戸からの風の変化など、五感に訴える描写がとても繊細で、時間の流れが穏やかに感じられます。特に、「穏やかに見える人々の心の中では、どんなことが起きているのだろう」という一節には、他者へのまなざしと共感があり、優しさを感じました。
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