第358話「嘘偽りのない現実」
あまりにも突然で、あまりにも残酷な現実。
友奈のその言葉に、噓偽りはないのだろう。
何となくだが、その確信があった。
だが、まだ受け入れられない気持ちもあった。
とにかくがむしゃらに走って、病院へ向かう。
そして、岩船先生がいる病室の前へ立つ。
ドアは閉められている。
そっとドアを開けても、そこには誰もいなかった。
『どこにいるんです?』
途方に暮れたので、友奈にメッセージだけ送る。
その間に、病室からカフェテリアまで移動する。
この間、約5分ほど。
カフェテリアについたそのタイミングで、ちょうど返信があった。
『病院にいるの?』
と。
それから何件かやり取りをして、病院の中庭で落ち合うことに。
「あ、いたね」
カフェテリアからまっすぐ中庭に向かうと、すでにベンチに座ってスマホをいじっている友奈の姿があった。
声は普通。
でも、いつもより若干テンションが低いような気がする。
「あの・・・岩船先生って」
「電話で話した通りだよ」
「でも・・・」
「口止めされてたからね・・・佳奈美ちゃん、最初から分かっていたことだったんだよ」
「わかっていたことって・・・こうなることが?」
コクリと、黙ってうなづく友奈。
「病気だった、ってことなんですか?」
「まぁ、そうだね」
脱力するような感覚。
冷静になって考えてみれば、村上友彦と岩船佳奈美。
二人の関係は生徒と教師。
わざわざ病気のことを話すような関係ではない。
どうして病気のことを話してくれなかったんだ。
そう思う気持ちもあるが、岩船先生にとっての村上友彦という存在は、ただの生徒であり教え子。
「仕方なかったのか・・・」
自分の中で、そう納得させるしかなかった。
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