第357話「電話越しに聞こえる声」


だらだらと過ごしていると、もう卒業間近。


2年生である蒼はともかく、3年生は通常授業も終わって登校日はほぼなくなる。


今日も平日だというのに、登校日じゃないからといって家で過ごしていた。



「・・・ん?」



意味もなく常時マナーモードにしているスマホが、小刻みに振動する。


画面を確認すると、岩船先生の従兄弟である友奈からの着信だ。


この人から電話がかかってくることに、ただならぬ気配を感じる。


息を吞み、自然と震える手で応答をタップする。



「もしもし」


「あ、友くん?」



あだ名で呼ぶ彼女は、その気さくな呼び方とは裏腹に重々しい声だった。



「はい」


「いま、大丈夫? 学校?」


「いえ、今日は休みですから」


「そっか。まぁ何というか、落ち着いて聞いてほしい」


「はい」



いつもは気さくな友奈。


だが、この時ばかりは違った。


電話越しでさえ、何か良からぬ事態が起こったような。


そんな気配が感じられる。


もう、嫌な予感とかで片付けられるものではない。


誰だってわかる。


この電話が、嫌な知らせであること。


誰が・・・?


それも分かりきっている。



「佳奈美ちゃんのこと・・・なんだけど」


「はい。なにか、あったんですか?」



岩船先生の名前が挙がる。


そんなことは分かっている。


彼女が、どうしたというのか?


倒れて入院した彼女に、何があったのか?


焦る気持ちをグッとこらえ、友奈の次の言葉を待つ。


おおよそ2秒。いや、3秒だろうか。


間を開けるには長すぎる気がするが、緊張が走って重々しいこの通話において、それは何倍にも長く感じた。



「佳奈美ちゃん、亡くなったよ」



ようやくと言うほどに間を開け、そして放たれた言葉。


それは、予想を遥かに上回るものだった。


漠然・・・というか、思考が完全に停止した。


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