第356話「目標の達成」
空虚な感じだ。
今まで追い求めていた目標。
それに向かい、1日の大部分を消費してきた。
その結果かどうかは分からない。
でも、無事に目標としていた明坂大学には合格できた。
それは喜ばしいことだ。
だけど・・・。
「なんだろう、この感じ」
学校が終わってからの放課後。
自室に座り込み、ボーっと見慣れた部屋を眺める。
空虚な感じだ。
「俺って、普段どんなことしてたんだっけ」
今まで勉強に費やしてきた時間。
受験が終わり、勉強をする必要はなくなった。
入試合格は、ゴールではない。
スタート地点に立っただけ。
だから、勉強をする必要がないというのは語弊がある。
ただ、必要性はあっても緊急性がないのだ。
そうなら、嫌な勉強を積極的に取り組む必要はない。
「言われてみたら、放課後って何やってたんだろうね」
と、これは蒼の発言。
彼女でさえも、この時間をどう過ぎしていたかを覚えていない。
「半年とちょっと、よく勉強したよな・・・おれ」
「すごいと思うよ。素直に」
「なんかそう言われると照れくさい」
「いや、マジだから。でも、私も今年受験生だからなぁ」
蒼は1年年下。
元々、蒼が目指す大学に合わせる形で受験をした。
なので・・・。
「友彦が合格したんだから、私が落ちちゃったら本末転倒だ」
そういうことである。
「頼むから、合格してくれよ。できる限りのフォローはするから」
我ながら偉そうなことを言う。
でも、そんな発言に蒼は、何の邪念もない笑みで言う。
「よろしく頼むよ!」
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