第355話「結果と未来」
何かあったらまた連絡してください。
そうは言ったものの、あれから音沙汰はない。
「よし! 行くよ!」
威勢のいい声がする。
蒼の声だ。
雪が積もる外の気温は、昼というのに氷点下という極寒の環境。
太陽こそ出ているものの、わずかな風が肌に当たるだけで痛い。
コートにマフラー、それから手袋。
徹底的な防寒対策をした二人は、家を出る。
「緊張する?」
「まぁ・・・な」
「今更緊張しても、なるようにしかならないよ」
そんな感じの励まし。
いや、励ましなのだろうか。
今日は、大学の合格発表の日だ。
明坂大学。受験した理学部の偏差値は55。
偏差値というものがどれだけアテになるのかは分からない。
でも、文系でかつ頭も良くなかった人にとって、この偏差値は遥か遠くに感じた。
毎日勉強をして、色んな人に助けられてきた。
今だって、終始蒼に話しかけてもらって、緊張を和らいでくれている。
そんな感じで移動して、合格発表者の番号が書かれた看板を前にする。
「友彦、番号何番?」
「えっと・・・」
震える手で、自分の受験番号を確認する。
4桁の数字。
番号順に並んでいる合格者一覧をなぞっていく。
「あ、、、」
「どう?」
貼りだされた紙。
数字の羅列。
番号順に並べられたそれは、抜けているところも目立つ。
「あ、あった」
「ほんと!?」
「うん・・・ほら」
受験番号が書かれた用紙を蒼に渡し、その目で確かめる。
「ほんとだ!」
結果は、合格だった。
嬉しいような、そうでもないような。
実感がないという言葉が相応しい。
でも、結果は合格。
それは、紛れもない事実だ。
「やったね!」
「あ、うん・・・」
蒼とハイタッチする。
満面の笑みを浮かべる蒼に、どこか引きずるような表情をしてしまう。
もちろん合格は嬉しい。
ただ、無邪気に喜べない自分がいる。
それは、受験とは全く別のこと。
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