第18話 司教

 そんなこんなあり、王城内の教会にたどり着きました。

 一目見た教会はすごく立派でした。

 装飾は派手だし、規模も大きい。

 この教会ですら本部ではないということに驚きました。

 貴族様のお屋敷というものをほんの少ししか知らない僕ですが、この教会は僕がいたお屋敷ぐらいの規模を感じます。


「あの、サリュ」

「ん? なんだ?」

「王城内の敷地にあるにしても、ここの教会は立派すぎませんか?」

「まぁ、そこはこの国の意地だろうなぁ」


 渋い表情でサリュは言います。


「こういうところに金をかけるなら、もう少し他に金をかけるところがあるだろうとは思うがな、仕方ないんだ」


 そう言ったあと、サリュはそのまま教会に入っていきました。

 

 教会内に入った僕たちを迎えたのは、僕らから見て前に伸びた室内でした。

 長方形になっているように見える室内には、左右に椅子が置かれてありました。

 その椅子に至っても、左右に長く大きい椅子でした。

 目に見えるすべてが、お金がかかったものに見えます。


「おや、いらっしゃいましたか」


 呆然としていた僕に、声がかかりました。

 左前方から決して大きな声ではないものの、自然と耳に入る声でした。


「これは司教様。私たちのために、わざわざ時間を取って下さりありがとうございます」


 サリュが殊更、丁寧に挨拶しました。

 それに合わせて、僕もお辞儀します。

 そんな僕らに、司教様は穏やかに微笑みながらおっしゃいました。


「これは丁寧な挨拶痛み入ります。まずはこちらに案内しますので、そこで軽い自己紹介をしましょう。そのあとに私の出来る範囲での授業を行わせていただきます」


 司教様の案内の元、教会に入ってすぐ左の部屋に入りました。

 そのまま司教様の案内についていき、とある部屋に着きました。

 その部屋の説明を司教様はしてくださいます。


「ここは王族の方々が、教会の成り立ちや我らが主に関する話を授ける場所になります。今の王族の方々もここで学ばれましたよ」


 僕はそのような場所で学ぶことに恐れ多く感じてしまいます。

 ですが、司教様は特に気にした様子もなくおっしゃいます。


「では、お二方はこちらの席へ。この部屋で誰かが襲撃に来ることもないので、そちらの騎士様もお席へどうぞ」


 そうおっしゃった司教様は、僕らの席の前にある机の方へ移動しました。


「さて、皆さま席に着いたようですし、自己紹介をしましょうか。私の名前はサンセリテと言います。そちらの騎士様のおっしゃる通り司教の位を授かっております。皆さまにはこの世界の成り立ちを教えるように言付かっております。あとは、大罪でしたか。そちらを詳しく教えるように聞いております。よろしくお願いします。では騎士様から自己紹介をお願いします」


 司教様の言葉に従って、サリュは起立しお辞儀をします。

 そして、言います。


「私はサリュ・ド・プーデと言います。サリュと呼んでください。自分はコイツ、ルエンの世話をすると同時に、コイツが冒険者になるまでいろいろなサポートをする予定です。よろしくお願いします」


 サリュの挨拶にサンセリテ様は頷いた後、サリュは静かに座りました。

 そのあと、僕に自己紹介をするように促しました。


「僕の名前はルエンと申します。サリュが言った通り、僕は冒険者になる予定ですが、僕に大罪スキルらしきものがある為に、学びたく思います。よろしくお願いします」


 サリュにはあらかじめ、僕の中にある大罪スキルに関する話は伝えてあるということを聞いていましたので、自己紹介の折に改めて言いました。


「そうですか。君はルエン君というのですね。よろしくお願いします」


 僕が席に着いたあと、サンセリテ様はおっしゃいました。

 続けて、サンセリテ様はおっしゃいました。


「今日はあと二時間ほど時間があるようなので、何から教えたものでしょうか……。本当なら我らが主、神のことを話したいのですが、ルエン君に関する大罪から話した方がいいかもしれませんね……」


 そうおっしゃり、サンセリテ様は僕に尋ねます。


「ルエン君。君がいま所有している大罪の名称が何か教えてくれますか」


 僕は頷き答えました。


「はい。僕が所有しているのは、怠惰、憤怒、色欲の三つがあります」

「なるほど、すでに三つもありますか。では、憤怒、色欲、怠惰に関する話をしましょうか」


 そして、サンセリテ様は教えてくださいました。

 おおむねは、ブリヤン様がおっしゃるような内容でしたが、その大罪に関する鬼についても教えてくださいました。


「憤怒は怒り。色欲は性欲。怠惰は放棄を意味することはすでに知っていたようなので、それに対応した鬼について説明しましょうか」


 サンセリテ様は教えてくださいました。

 

「そもそもお二方は鬼のルーツ、すなわち起源を知っていますか?」


 もちろん、僕たち二人とも鬼がどこから来た言葉なのかを知りません。

 なので、僕たちは知らないと答えました。


「やはり知りませんでしたか。鬼という言葉は広く浸透していますが、それはおとぎ話によるもの……。おとぎ話にある話は実際に起こったことを基にした話のようで、その起源は遥か東にあると聞いています」

「東ですか?」

「そう。東です。そもそも私たちが扱う文字も東から伝わってきたものなのですよ?」

「そうだったのですね」


 僕とサリュは理解したと示すように頷きます。


「それで、鬼というのは文字が発祥した地より、さらに海を渡った東から伝わってきました。その国では争いが絶えず続き、人々の恨みやつらみが溜まっていった結果、鬼が生まれたそうです」


 サンセリテ様は続けます。


「では、最初の鬼とは何という大罪から生まれたか……。最初の鬼は憤怒から生まれたと伝わっています」


 そして、サンセリテ様は鬼と大罪について詳しく教え始めました。

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