2
「明属?」
「知らないかな?」
オキシの呟きを、母であるアカは逃さない。
だがそこ解説を行うのはクラだった。
「有精者は大きく二つに分かれる。明属と、暗属。勿論対をなすこの二つだが、必ず同じ場所にも位置する。表裏一体といったところかな……………」
直後、汚穢の体が少し揺れた。
それをムは、見逃さなかった。
「まあ見分け方は簡単で、名前が漢字体かカタカナか。精場でも確認こそは可能だが、君たちはね」
「へー」
そんな沈黙も意に介さず、ロは色を投げつける。
だがそれを難なく避ける獅。
ここまでは先ほどと同じ。
「これは、どうですか?」
次いで地面から拾った土を投げつけた。
刹那、獅は全力で避けた。
(勘付かれたか?いや、そんな事はない)
それは事実を隠蔽するための行為。
ロは怪しんだ。
(そんなに体にかかりたくないなら)
彼女は、広範囲の色を投げつけた。
色は緑。
丁度後ろの叢に溶け込む程だ。
生きているようなそれにも目を向けるべきだったが……
「チッ」
獅の体を、色は通り抜けた。
それは言葉通り「通り抜ける」
一色も残す事なく、緑は叢を更に彩った。
「………幽霊、ですか」
「…………」
隠そうと思っていた能力を、相手の口から発せられる。
間違いなくこれは獅にとって悪い方に働くだろう。
「ということは、実体は別の場所に…………」
もう攻めなければいけない。
これ以上悟られては、このような能力にした意味がない。
獅は苦しみ紛れの拳をロに浴びさせようとする。
だがそれらは全て、色の壁によって守られた。
壊れた色は地面へと吸収され、闇へと戻ってゆく。
それは同時に、敗北をも意味した。
「もうあなたには興味がない。早く戻っても戻らなくても、死にますよ?」
戻ったところで場所を知らせるだけ。
戻らなくても彼女が自ら探しに行く。
その隙をつけるような相手でもない。
崖の獅。
川のロ。
この時点で、勝敗を決めても良かったのかもしれない。
だが、満足はできない。
さあ、窮地だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます