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「明属?」

「知らないかな?」

オキシの呟きを、母であるアカは逃さない。

だがそこ解説を行うのはクラだった。

「有精者は大きく二つに分かれる。明属と、暗属。勿論対をなすこの二つだが、必ず同じ場所にも位置する。表裏一体といったところかな……………」





直後、汚穢の体が少し揺れた。


それをムは、見逃さなかった。







「まあ見分け方は簡単で、名前が漢字体かカタカナか。精場でも確認こそは可能だが、君たちはね」




「へー」












そんな沈黙も意に介さず、ロは色を投げつける。

だがそれを難なく避ける獅。

ここまでは先ほどと同じ。





「これは、どうですか?」





次いで地面から拾った土を投げつけた。

刹那、獅は全力で避けた。

(勘付かれたか?いや、そんな事はない)

それは事実を隠蔽するための行為。





ロは怪しんだ。





(そんなに体にかかりたくないなら)





彼女は、広範囲の色を投げつけた。

色は緑。

丁度後ろの叢に溶け込む程だ。

生きているようなそれにも目を向けるべきだったが……






「チッ」





獅の体を、色は通り抜けた。


それは言葉通り「通り抜ける」


一色も残す事なく、緑は叢を更に彩った。






「………幽霊、ですか」






「…………」






隠そうと思っていた能力を、相手の口から発せられる。

間違いなくこれは獅にとって悪い方に働くだろう。





「ということは、実体は別の場所に…………」





もう攻めなければいけない。

これ以上悟られては、このような能力にした意味がない。

獅は苦しみ紛れの拳をロに浴びさせようとする。

だがそれらは全て、色の壁によって守られた。




壊れた色は地面へと吸収され、闇へと戻ってゆく。

それは同時に、敗北をも意味した。






「もうあなたには興味がない。早く戻っても戻らなくても、死にますよ?」





戻ったところで場所を知らせるだけ。

戻らなくても彼女が自ら探しに行く。

その隙をつけるような相手でもない。





崖の獅。

川のロ。





この時点で、勝敗を決めても良かったのかもしれない。

だが、満足はできない。





さあ、窮地だ。






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