方位の記
0.1
さて、兇と福が存在するこの星はどのような形となっているのか。
端的に言えば、外側と内側が存在する世界である。
汚穢は地面に埋まって両方の人間に見えると記述したが、それほどに両国を隔てる地面というのは薄く、それゆえ硬い。
外側の兇から話を始めよう。
兇は常時暗く、森林が多い。
いつまでも夜が続き森の中では野生動物こそいないが代わりに陰樹が多い。
多いという表現はいささか不可解ではあるものの他には花が存在するので仕方がない。
が、この国には一つ大きなコブが存在する。
それは前章にも記載されている訪棒という棒について。名前はまだだった。
コブは多分外からの星の衝突だろうと予測できる。
その天辺に立っているのが訪棒。
記した時は折れてしまったが、アレが天願受文そのものである。
その時になれば文を出し、棒が自動的に折れる。
さて、福についてであるが、こちらはかなりややこしい。
福は内側に位置すると言ったが、重力自体は兇に向かっている。ということは、兇の人、福の人を同じ地面の座標に立たせると影のようにシンクロとは逆する。
それを分かった上で話を進めていく。
福は兇とは真逆でいつも明るい。
が、存在するのは木ではなく花。
どこかに花しか咲いていない星があるという言い伝えがあるが、それはここではない。
また福はあるものに照らされて明るい。
地球で言う太陽のようなものが中心にあるおかげ、とも言い換えることができる。
それがなんなのかは、今彼女らにはわからない。
が、大きな存在であることは確かだ。
さて、これが兇と福が存在する光臨という星についてであった。
補足として、アカが言っていた奥処というのは、この世に存在しないだけであって、どこかには存在する。
それは星ではなく、概念。
通常の人間ならば入れない。
通常ならば。
そろそろお暇しよう。
お疲れ様。
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