継続読み確定! 残酷さだけではなく、美しい祈りが込められた作品

これは、 “綺譚を追う探偵・ルナ” と “吸血鬼としての怪異を秘めた助手ズデンカ” が、怪奇事件の真相に挑む物語です。ただの推理劇ではなく、人外と人間が共に“幻想の影”へ踏み込んでいく構造が、独自の緊張感と美しさを生んでいると感じました。

第一話は、まさに“悲しくも美しい怪奇幻想譚”でした。
鐘楼の風見鶏に突き刺さるマルタの首という凄惨な幕開けから、一気に物語へ引きずり込まれました。猟奇的。ですが、妖しく美しい…。また本格ミステリ的構造が潜んでいることにもにやりとしました。

しかし物語が描くものは残酷さだけではなく、虐げられ孤独だったリーザの哀しみと、小さな蜘蛛の献身が織りなす静かな祈りが描かれていきます。

ルナが羽ペンによって蜘蛛の怪異を“綺譚”として書に封じる場面は、恐ろしくも神秘的で、まるで世界の痛みを記録し浄化する儀式のように思えます。
同時に、シャワーの滴りだけで震え崩れるルナの姿は、冷静な彼女が抱える見えない傷を強く印象づけ、ズデンカとの関係をより深く、愛おしく感じさせました。

幻想と怪奇を通してむしろ“人間そのもの”をあぶり出す筆致に、わたしは心を奪われました。この二人が今後、どんな罪と醜さ、そしてその奥に潜む美を暴き出していくのか——これは、どんどん事件簿として読んでいきたい作品です!

最後のいちゃこらタイムも個人的に好きです笑

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