23. 魔性の女(11)

その週の土曜日は、いつものようにひとり出社し、午後から紗耶香を抱いた。

紗耶香は、みずから覆いかぶさって、野獣のように咆え、首といわず肩をといわずからだ中に噛みつく乱れぶりだった。


精も根も尽き果ててベッドに横たわると、

「今夜はこのままいっしょにいて」

紗耶香は胸に頭をあずけ、甘え声でいった。

「・・・・・」

何も答えないと、

「わたしのこと、遊びなんだ」

顔を上げて真顔でたずねた。

「そんなことはない」

背中を撫でながら優しくいったが、ことばに力がこもっていなかった。

「愛しているなら、・・・帰らないで」

からだを起した紗耶香は哀願した。

「愛しているよ。・・・ただ、君があんな馬鹿げたことをするから」

「馬鹿げたことですって!」

その叫びを聞くや、ベッドから降りて、ワードローブから洋服を取り出して着はじめた。

部屋を出る時に振り返ると、紗耶香はベッドに突っ伏して泣いていた。

日暮れ前に家に帰ると、玄関に迎えに出た由布子が、犬のように周りを嗅ぎまわり、

「あの女の匂いがする」

と雄叫びをあげ、ひとを喰らう鬼女のようにむしゃぶりついてきた。

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