15. 魔性の女(3)

翌日も、接待があると由布子に嘘をいい、いっしょに会社を出て、食事もせずにラブホテル直行して紗耶香を抱いた。

・・・それからは、新しい玩具を与えられた子供のように、紗耶香との快楽の秘義に溺れていった。


ある日、会社あてに配達証明付きの手紙が届いた。

「妻がすっかり夜の相手をしなくなった。問いただすと、あなたとのことを口にした。これは犯罪だ。警察に訴える」

差出人の名前はなかった。

紗耶香をランチに連れ出し、それを見せると、

「ああ、夫です。いろいろうるさいので、あなたのことをすべて話しました」

平気な顔でいった。

「こちらこそ警察に訴えます。昨夜、やつが抱こうとしたので、思い切り足で蹴ってやりました。それで、肩に噛みついてきて・・・」

紗耶香が、ブラウスの肩を抜いで傷を見せようとしたので、あわてて止めた。

「どうする?」

「追い出します」

年上のじぶんがうろたえて、若い紗耶香が毅然としているのが不思議だった。

「追い出すって・・・」

「私の家なんで、出てもらいます」

紗耶香の両親は資産家だと聞いていた。

結婚を機にマンションを買ってもらったのかもしれない。

「いくらなんでも、それは過激すぎる。よく話し合ったほうがいい」

「話し合いません!」

「・・・・・」

「前から別れようと思っていたので、ちょうどいいタイミングです」

紗耶香は、不倫を咎める夫への怒りが収まると、むしろ気が晴れたのか、妖艶な笑みを浮かべた

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