13. 魔性の女(1)

「いつか飲みに連れて行ってください」

中途採用の紗耶香が、社内の打ち合わせが終わったあと、ひとり会議室に残って書類を片付けながら声をかけてきた。

「いいけど、ご主人がいるんじゃないの?」

そういって断ったつもりだが、

「うちはいいんです。主人は海外出張が多いし」

とあくまでも食い下がる。

それで、広告業界の重鎮のプロデューサーの還暦を祝う会のパーティーに連れていくことにした。


業界では、こういう身内のパーティーはしょっちゅうあって、奥さん以外の若い女の子を連れて出るのが半ばお約束になっていた。

紗耶香は、ギャラを払って呼ぶタレントの卵とはさすがに比べられないが、その辺の社長連が同伴してきた自社のOLの中では抜きん出た美貌を持っていた。

それでいて、かいがいしく水割りを作ったり、こまめにパントレーから小皿に料理を盛りつけて周囲の客に配ったり、いいコンパニオン役を演じていた。

それまで業界の付き合いなどほとんどなかったが、頻繁に紗耶香を連れてパーティーに出るようになった。


そんなある夜、由布子にはパーティーがあると嘘をつき、紗耶香をホテルのディナーに誘った。

「今夜は、ふたりだけのパーティーをしよう」

とささやくと、紗耶香は耳元まで真っ赤になった。


初心なOLとちがって、さすがに人妻は話が早い、・・・と思った。

ホテルの部屋で、恥じらいながらドレスを脱ぎ、黒いレースの下着姿になると、紗耶香は妖艶な娼婦に化身した。

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