12. 売られた花嫁(12)

大きなモーター音が部屋中に響き渡ったのでぎくりとした。

音は左の角にある大型冷蔵庫から出ていた。

『ここに冷蔵庫なんかあったっけ?』

そんなことよりも、

『食べるものがある!』

という喜びのほうが大きかった。

重い扉を両手で力いっぱい引いて開けた。

勢いでのけ反り尻もちを突いた。

冷蔵庫の中を見て思わず後ずさった!

上の段に目を閉じた女の首と千切れた腕と足が、下段には腑分けされた肉が押し込まれていた。

それを見た瞬間に胃が痙攣し四つん這いになって吐いた。

何も食べていないので吐くものがなかった。

ただ胃液だけがこみ上げて黄色い飛沫が床に飛び散った。


扉が開く音がした。

階段を見上げると黒いマントを着た神父さまが大きなトレーを持って立っていた。

トレーを足元に置いた神父さまはおもむろに歩み寄り冷気を放つ冷蔵庫の扉を閉めた。

次に、腰から抜いたベルトを振り回して、背中を打ちすえた。

気を失うまで何度も何度も!


・・・正気をとりもどすと、首輪だけの丸裸で転がっていた。

神父さまが、

「座れ。ビッチ!」

犬のように四つん這いになって床のトレーから口で食べるように命じた。

スープ皿には赤黒いスープと、大皿には唐揚げとご飯が盛られていた。

ためらっていると神父さまはいきなり髪の毛をつかんで顔をスープ皿に押しつけた。

眼といわず鼻といわず顔中がスープだらけになった。

そのまま裸で引き立てられて墓場にもどされた。

蓋に釘を打ち込む音が、死刑宣告のように棺桶の中でいつまでも響いた。

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