第49話
〜ナモナキ〜
「……人間だ!人間!」
魔族の子どもたちがスーツを着た銀髪の男に群がる。角が生えていたり、狐耳が生えていたり、下半身が蛇だったり……様々な種族。だが、共通点が1つあった。
「うわぁ!化け物の群れだ!こっちへ来るな!」
皆、人間とかけ離れた姿をしている。
魔族だから当然?いや、違う。
この大陸の魔族は、一つの魔族を除き……人間とそう変わらない『人間体』を持つ。
ナモナキに溢れる魔族の子どもたちは、それを半分しか持てない。
つまり、正常な人間体を持っていないのだ。
狐耳が生えた妖狐の少女は、顔の下半分が狐のまま。角が生えた鬼族の少年は、右腕の皮膚が真っ赤な鬼のそれ。
奇形を起こす原因は魔力を通す回路の異常。この地域の魔族は、人間にも、魔族にも恐ろしく映る異形と化している。
「人間、金を置いていけよ!」
「たすけて!たすけて!僕たちの妹を救って!」
スーツの男に縋り付く異形の魔族の子どもたち。妹はここにはいないが、魔力回路の異常により、魔力を放出できずに苦しんでいる。
「他の魔族が妹を狙うんだ!食べたら美味しいって……!」
「ひ、ひぃっ!ま、魔族が魔族を食べるのか!?」
「取引のためとは言え、下等な魔族が寄って来るのは不快ですかな?」
「ヨウユウさん、は、早く市場に案内してくださいよ」
ヨウユウと呼ばれた男が不敵に笑う。
「ふっふふふ、申し訳ない。こんな異形の魔族より、人間様が欲しいのは上等な魔族。分かっておりますとも。えぇ」
「いいから早く!クソ、気味の悪い魔族共の住む街なんて来たくなかったんだ!」
スーツの男が魔族の子どもたちを蹴る。まともな魔力回路を持たない彼らは、人間よりもずっと弱い存在だ。為す術なく地面に顔をぶつける。
「もちろん掃除させますとも。近いうちに、ね。こんなの価値がないですからな。値段がつかない奴隷なぞ、ただのゴミ。でしょう?」
「当然だ!この街はいずれ人間が住む街にする。そのために森林伐採をして土地を整えたんだ。莫大な金を使って家を建てる計画もそろそろ実行できる」
「楽しみですな……人間様の統治は」
「うっ……すごい臭いだ」
ザックが思わず鼻を手で覆う。
フートテチ地区北……ナモナキの入口は、瓦礫が積み上がって壁のようになっていた。瓦礫の向こうから異臭がする。
「空が開けておる。森林が消えたのか?この20年で?」
「森林があったのか?」
「空を覆うほどの大樹の集まった地域、それがフートテチ北じゃったはず。どういうことじゃ?これじゃあ獣系の魔族も鳥系の魔族も住めん。それに……」
リュウガの言葉が途切れる。瓦礫の向こうから悲鳴が上がったからだ。
「な、なんだ!?」
ザックが後ずさる。
「っ!」
リュウガが走って瓦礫の隙間から中に入る。
「リュウガサン!俺たちも」
「待て!来るな!!貴様ら!絶対に来るな!」
その圧に、2人の足が竦む。
「思ったより酷い状態かもしれん。……すぐに戻る」
リュウガが壁の向こうに入ってしまった。テリーナが膝から崩れ落ちた。
「……テリーナサン?」
「……魔力が、消えたのだわ。今、魔族が1人……」
「殺された……」
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