第46話
「かわいいのだわ〜」
テリーナがリーシーを見てウットリする。
「ふん、我の方がかわいいわい!」
「どこが?」
「かわいいじゃろう。全体的に」
「2mの大男はかわいくないぜ」
「僕の方がかわいいよぉ〜?キャハッ」
「わ、私はかわいくないです!」
リーシーが腰に手を当てて胸を張る。
「かわいいじゃん」
ヴァレリアが言うと、リーシーがまたプンプン怒った。
「かわいくありません!」
「お、おねぇちゃぁん、僕は?僕はぁ?」
「ラビーは別に……」
ガーンッ!ラビーがショックを受けてその場に崩れ落ちる。
「……オホンッ。皆さん、ブンテイへようこそ。お茶をどうぞ。……ヨンギュン?」
「はいはい、あっしの出番ですかい?」
細身の青髪の青年が裏から現れる。
「お茶を用意してください」
「リーシー様はオレンジジュースで良いですねぃ?」
「オレンジジュースで良いですよ」
「キャハハッ、僕もそれぇ!」
「ふふん、お子ちゃまですね?」
「僕は17歳だもぉん。お子ちゃまだもーん」
ラビーは不機嫌なようだ。嫉妬でもしているのか。
「皆さんの目的はアレス殿から聞いています。『人魚の楽園』へ向かいたいと……」
ザックがお茶を飲む。シャフマのそれよりも苦味が強い。
「『人魚の楽園』の地図が欲しいんだ。リーシーさん、持ってる?」
ゾナリスの問いに、リーシーが首を横に振る。
「つい最近まで持っていたんですが、ある人物が必要だと言っていたのでこの前渡してしまいました」
「誰に?」
ザックが聞く。
「ニチジョウ出身の行商人ヨウユウ殿です」
ピクリ……。リュウガの眉が動いた。
「ニチジョウか。ルートに入っていない場所だね。立ち寄るか?ゾナリス」
「必要なら行こうぼっちゃん。ヨウユウって人に会えば複雑なフートテチ東地域の地図が手に入るんだ」
「わーい!鬼煎餅!鬼煎餅っ!」
ラビーが飛び跳ねて喜ぶ。
「その必要はないわい。ヨウユウなら北におる」
リュウガの言葉に一同が固まる。
「……知り合いなのか?リュウガサン」
「奴は胸糞の悪い男じゃと有名じゃ。ニチジョウの民なら皆知っておる。フートテチ最北で汚い商売をしておるからのう。商売で利用するために地図を手に入れたのじゃろうな」
「汚い商売?なんだよそれは」
「奴隷じゃ。魔族を人間に売って金儲けをしておる」
「ヨウユウが『人魚の楽園』へ行く目的は、人魚を捕まえて奴隷にするため!?」
「可能性は高いじゃろう」
「そんな人に渡してしまったんですか……!?そ、そんな」
リーシーが目を泳がせる。
「知らんのも無理はないわい。奴は自分からは情報を言わん」
ザックがお茶を飲み干して立ち上がった。
「じゃあ、早く行かなきゃじゃないか!北へ向かおう!」
「まぁ待て。……とは、言ってものう。いつも北におるとは限らん。ここは手分けして探すのはどうじゃ?」
ニヤリとするリュウガ。
「二手に分かれて、北と南で地図を探すんだね?」
ヴァレリアが言う。
「そうじゃ」
「なるほど。北の方が可能性は高いが、南にいないとも限らないならそうした方がいいな。ええと、今6人いるから……」
ザックが皆の顔を見回す。
「俺とラビーは分かれた方がいいよな。ゾナリスとヴァレリアサンは武器が違うからセットで動いた方が効率が良いだろう。南チームはこの3人だ。ラビー、ゾナリス、ヴァレリアサン。テリーナサンとリュウガサンは俺と北に向かおうか」
皆が頷く。ここからは二手に分かれて行動だ。
「話がまとまったようですね。分かれて行動するのなら、これを持って行くと良いですよ」
リーシーがザックとゾナリスに紙で出来たコップを渡す。
「これはどういう道具なの?」
コップを覗き込むゾナリス。
「ゾナリス殿、こっちに来てくだせぇ」
ヨンギュンがゾナリスを部屋の外に出す。
「ザック殿、コップに口を当ててゾナリス殿を呼んでみてください」
リーシーがニコニコしている。
「え?部屋の外にいるのに?」
「いいですから」
ザックは言われた通りに口を当てる。
「ゾナリス、聞こえるか?」
『うおっ!?すごい!ぼっちゃんの声が聞こえるよ!』
「おおっ!?」
一同がどよめく。
「これは糸電話です。特別な魔力が込められていて、離れた場所にいる相手と会話ができる道具です」
「すごいな……!」
「フートテチの中であればどこでも使えますよ」
「ストワードには『電話』があるけど、あれ大きくて重いから家でしか使えないもんねー……」
「あぁ、たしかにあの大きい機械に使い方が似てるのだわ」
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